音楽番組「クリスマスの約束」の歴史は、
2001年のクリスマスから始まった...
多くの人がそうであるように私の人生も、「音楽」とともに歩んできました。これまでの人生に、常に寄り添ってくれていたのが音楽だったのです。青春期に聴いていた音楽というものは、当時のまだ若い私の感性に、深く強く染み込んでいたと思います。
そうした音楽は、ラジオやテレビなどの媒体を通して、楽しみ口ずさんでいました。音楽とは不思議なもので、その曲を聴くと当時の思い出が瞬時に蘇ってきたりします。
もう一つのアルバムのよう。
いつまでも心に残り、影響を受けた音楽番組も数多くあります。そうした番組の魅力について、書いてみたいと思います。執筆にあたり、公であるウェブサイトに掲載する以上、客観的事実においては、正確を期すように努めていく所存です。
★良質な音楽番組との出逢い
私の人生において、"音楽番組"は、なくてはならないもの。中でも、欠かすことのできない番組として、TBS系のランキング音楽番組「ザ・ベストテン」がありました。
TOP10に入っていれば、好きな歌手を毎週観ることができるという、まさに"至福の番組"で、毎週欠かさず観ていたことを思い出します。
また、番組のキャッチフレーズ「追いかけます、お出かけならばどこまでも」に象徴されるように、生中継にこだわっていたと思います。今では、到底考えられない(許可されないであろう)場所からの中継には、驚きとともにワクワク感がありました。
そして、セットがとても緻密に計算されていて、凝ったものが多かったと思います。ですから、歌手のみなさんの歌唱はもちろんですが、セットや演出も含めて楽しく食い入るように観ていました。
司会のお二人の丁々発止の掛け合いや、インタビューも魅力的。
そして、アイドル、ロック、ポップス、演歌などジャンルを問わずヒットしている歌手が出演していて、私は先入観なく観ていましたので、今、当時の演歌を聴いても、"演歌"とは感じられないのです。
これは、私の音楽の幅を広げてくれたと、感謝しています。
先日、CS番組で当時のプロデューサーさんのインタビューを拝見しました。時代が許した面も、多分にあるとは思うのですが、番組に対するその気迫と熱量に圧倒され、本当に"命懸け"で作っていたのだなぁと感動したのです。
番組内でも触れておられましたが、現在も活躍されている、80年代のトップ女性アイドルの初登場の回(
青い珊瑚礁PR)。
滑走路で歌唱してもらうという、制作サイドのアイデアと並々ならぬ気迫。感動と興奮とドキドキ感を思い出します。
また、触れられてはいませんでしたが、私の思い出としては、あまりに早く旅経ってしまった新御三家のトップアイドルが、歴代最高得点9999点を出した回(
YOUNG MAN (Y.M.C.A.)PR)。忘れられません。大勢のファン?とともに、大合唱を捉えるカメラアングルからはものすごい熱気が伝わってきます。私の音楽番組の、"原点"と言って間違いありません。
そうした中、2001年から"ある番組"が始まりました。私が敬愛する小田さんメインの音楽番組、TBS系「クリスマスの約束」です。私がファンクラブ会員になって長い年月が経ちましたが、バンド時代から魅了され続けている私にとっては、上述した番組同様に大きな存在の番組だと思っています。
『クリスマスの約束の感想コラム』は、こちらから、もしくはサイドバーから。今も続く、この”良質かつ上品な音楽番組”の魅力について、考えてみたいと思います。
(番組の制作著作:TBS様
TBS 番組公式ホームページ
)
- 自己ベスト (小田和正)
2002年の通算3作目のベストアルバム。トリプルミリオンを記録。ソロ前の楽曲のセルフカバーに加えて、ソロ後の名曲の数々が煌めく星たちのごとく収められています。聴きごたえ充分で、選曲・曲順ともに流れるような展開。あっという間に時が過ぎていました。いつまでも飽きの来ない名盤だと思っています。
この中から一曲を味わう。
1979年のバンド時代の通算17枚目のシングル曲。後にセルフカバー。硬質なハイトーンが心地よく響き、サビの言葉3連発のインパクトが大。シャウト気味の高音が音符の中を切り裂いていくよう。
この曲を聴くと思い出すのが、TBS系ドラマ「 3年B組 金八先生 第1シリーズPR 」 の第20話。ある生徒が自宅に帰宅してからのシーン。最後までセリフが一言もなく"この楽曲"がフルコーラス流れました。生徒の心情を効果的に表現していて非常に見応えがあり、今でも強烈に印象に残っています。名曲。
※
初めてバンド時代の楽曲を聴いたのは、いつだっただろうか。記憶を辿れば、姉のラジカセで流れていた何かのアルバムのカセットテープだったと思うのだが、思い出せない。
当時は芸能雑誌に「歌本」が付録としてついており、歌詞と譜面がのっていてピアニカやリコーダーで練習していた。何かの発表会が体育館であり、"出し物"をしなければならなかった。クラスの友達と「さよなら」を演奏した記憶だけは、鮮明に覚えている。大勢の前で演奏するのが、恥ずかしくて堪らなかった。今考えると選曲的にはどうなのかなと思うが、わりとよく演奏できた記憶。
そして、担任の先生の車に乗せてもらった時(今ではありえないと思うのだが)、カーステレオでは必ずこの曲が流れていた。これも私の深層に刷り込まれている。ソロになってからもその歌声に魅了され続けて、今があるのだ。
#1 人との関わり合いの中で...
この番組を、制作スタッフさんが提案して下さったからこそ、小田さんはじめ事務所のみなさんが、その思いを受け止めて下さったからこそ、そして、立場が違えども、番組づくりへの熱い思いを実現すべく話し合いを積み重ねていかれたからこそ、これだけの良質の音楽を見て聴くことが出来るのだと、心底思っています。
この番組に携わって下さった、すべての皆さんに感謝。
それまで、テレビへの出演がほとんどなかったと記憶していますが、メインホストとして出演するという事実。
当時、「ホントにテレビに出るの!?」と衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。音楽番組にはほとんど出演していなかったことを知る多くのファンは、そう思ったのではないでしょうか。その後、いろんなメディアに出演するようになったのは、この番組を始めてからのような気がします。
そして、"珠玉の2009年放送回"が象徴していると思うのですが、番組が出来るまでの過程をつぶさに見せて頂けること、つまりドキュメンタリー的要素を持つ番組であることは、この番組の魅力の一つだと思うのです。
会社では、いろんな人との関わりの中で仕事をしていきます。物事の進め方や関連する人との接し方などは、大きなプロジェクトになればなるほど大切になってきます。
人との接し方、交渉の仕方、コミュニケーションの取り方、感情的にならずに自分の想いを伝えようとする努力、どれも会社員にとっては必要なことばかりだと思います。
そんな場面での、"ヒント"にもなり得るシーンが随所に見受けられ、いち社会人として参考にさせてもらうことの多かった回だったと記憶しています。
2001年(第1回)放送分、2002年放送分、2003年放送分、2016年放送分、2017年放送分、2019年放送分を、コンテンツ配信サービス「Paravi」にて視聴することができると同時に、番組ホームページにおいても、各種情報が掲載されています。
#2 多様な物事に触れて...
この番組がなかったならば、見ることができなかったであろうものの一つに、小田さんが、他のアーティストの楽曲を歌唱・演奏することが挙げられると思います。私の記憶では、テレビで見たことはなかったと思います。
当初の企画の実現が難しくなったことにより、図らずも実現した他のアーティストのカバー歌唱。第1回放送を見て、そのクオリティの高さとともに、オリジナルの楽曲の良さを再認識しました。
原曲に最大限の敬意を払いつつ歌唱するカバーは、また違った色合いを見せてくれます。若い人の楽曲など、いろんなテイストの楽曲の練習に励むその姿は、苦戦しながらも、どこか楽し気でありエネルギーも満ちている感じがします。
他のアーティストの楽曲をカバーするということは、とても難しいことなのかもしれません。そのアーティストのファンにとっては、新鮮でとても魅力的だと思うのですが、オリジナル楽曲及び歌手のファンの皆さんからは、原曲を愛するがゆえの懐疑的な声も上がるかもしれません。
しかし番組を見続けて思うことは、いろいろな解釈があっていいのではないか、素直にそのアーティストの表現を楽しんだ方がいいのではないか、もっと言えば、そうしたものが、"音楽"というものの幅や可能性を広くしていく側面があるのではないか、ということです。ですから、第2回以降も続くカバー歌唱・演奏もまた、番組の魅力の一つだと思うのです。
人を成長させるものの一つに、自分の知らない、多様な物事に触れるということがあるように思います。それは取りも直さず、新しいことへのチャレンジに他なりません。知らないことに取り組むことは、やはり億劫になりがちですが、常に好奇心を忘れずにいたいものです。
2016年に放送された「ロングインタビュー」を観ました。録画もしてありますが、書籍(「100年インタビュー」保存版 時は待ってくれない (100年インタビュー 保存版)PR)になって発売もされています。なかなかに、興味深い内容が詰まっています。音楽に対する考え方、これまでの人生を振り返る感じの、「その言葉ひとつひとつ」に意味をがある気がしてなりません。
このインタビューを思い出しながら感じるのは、成功・失敗に関わらず、瑞々しい感性を持ち続けるために、日頃から感動する気持ちを大切にしたいということでした。ある程度の年齢を重ねてきた私は、とかく自分の周りだけの世界との関わりを求めがちになってきていたと思います。その方が楽だからですが、ただ、やはりどこか違う気がしています。食わず嫌いをせず、新たな刺激を受けることは、自分自身の秘めた可能性を引き出すチャンスでもあるとも考えています。
活動期間わずか7年。この短い時間でトップシンガーに昇りつめた軌跡。毎週のようにランクインしており、同時に映画の撮影などもこなし、当時のハードスケジュールの中、生放送のわずか3分間に研ぎ澄まされた集中力を発揮していました。軽快なお二人の司会者と冷静な会話をもこなす。どこか透徹した雰囲気を漂わせ、"チカラ"のある歌唱を見せてもらいました。
1977年のシングル曲。昭和を代表する名曲。どれもヒット曲かつ名曲ばかりなので、人によって、"この曲"という思い入れがあると思います。バラードからロックまで幅広く歌いこなし、歌の上手さ、表現力などを鑑みれば、「アイドル歌手」という言葉は適切ではないのかもしれません。そして聴く人を惹きつける声質の魅力。嫁ぐ前の女性の心理描写が見事な歌詞を、情感たっぷりに歌唱している名バラードです。発売はこの音楽番組が開始される前ですので、当時の音楽番組の出演分を収録。
私が唯一ファンクラブに入っている小田さんのカバーが忘れられない。
ピアノの音色が私を情緒的にさせる。仄かな白と薄紅色のライティング、大サビでの思い切り引き上げるカメラークに鳥肌が立ち、幾度となく感動を覚えたのだ。スタッフ陣の本領発揮。主人公の繊細に揺れ動く心情を、時に優しく時に強く歌唱する硬めの高音が耳から離れない。絶品。(2007)。※
このカバー歌唱・演奏は、上述した"カバーの魅力"を如実に表しているひとつだと思っています。素晴らしいです。もちろんオリジナルは素敵以外の何物でもないですが、そこを理解したうえで聴くカバーもやはり"いい"と思うのです。
#3 真剣にぶつかり合って...
ゲストアーティストさんと一緒に曲作りを行って歌唱・演奏するというのも、この番組ならではと思います。
テーマを共に模索し、お互いに音楽的な考えをぶつけ合い話し合いを重ねて、その結果として作り上げた楽曲を、歌唱・演奏する、というものです。その共同作業の過程を映像で押さえながら、そこも含めての「コラボレーション」という形は斬新で、これまでの他の番組では滅多に見ることがなかったと思います。
個性的なアーティストとの関わりは容易なものではないと思います。それぞれが自分の考えや感性をもっており、"自分"というものを強烈に主張していくことがその本質にはあるからだと思っています。キャリアを重ねていけばいくほど、音楽的指向の違いや世代を超えての交わりが難しくなったりするのだと思います。
自分から飛び込んでいき"いいものを作るんだ"という熱意は、時として人の心を動かしたりもするのではないでしょうか。ただ相当のエネルギーが必要なことかもしれません。それ故にアーティストたちの人間味や音楽的価値観、個性と個性のぶつかり合いなどを見た人は、普通に曲を聴いたときに湧き上がる感情とはまた"別の感情"で共作曲を聴くことができるのではないでしょうか。
そして、チカラのあるアーティスト同士が共に本気で作り上げた楽曲の凄さを知ることができるのだと思っています。10人のアーティストがいれば、10通りの音楽的指向やアプローチがあるのだと思います。自分の考えをしっかり持ちつつも、相手の意見を俯瞰的視点から受け止めることの大切さを考えさせられることも多くあります。こうした「共作」も、番組の大きな魅力の一つだと思うのです。
会社で新しいものを立ち上げる時には、企画に参加している人たちのアイデアは欠かせません。また、異なる様々な意見が出ることは至極当然です。意見のぶつかり合いなどもありますが、それを恐れていたら、良いアイデアは出てこないのだと感じます。そこで大切なのが、"信頼"と"受容"ではないでしょうか。
私がいつも思っていることの一つに、相手を否定するところからは入らないようにしよう、というものです。多種多様な意見をいったん受け止めて
- 存在理由~Raison d'etre~ (さだまさし)
2020年のオリジナルアルバム。"言葉の魔術師"だと思います。シンプルかつ存在感のあるメロディーに、繊細な心の動きを表した歌詞をミックスさせる才能に惚れ惚れ。一級品。そんな楽曲たちが一つのストーリーのように集っているのが、このアルバム。聴き応え充分。本質的には"詩人"なのかもと私は感じています。ライナーノーツに書かれている"想い"も興味深い。
- たとえば (さだまさしwith小田和正)
紹介文と感想は別ページに書きます。
#4 漫然とせず...
既存の楽曲を「コラボ」することは、とりわけ珍しいものではないのかもしれません。いや、昔はそういう言葉ではなく「共演」と言っていたように記憶していますが、どちらにしても「一緒に音楽をする」ことに変わりはないと思います。
ただ、これは前回で書いたような「一緒に新作を作る」という部分がないだけで、原曲とは異なる切り口で、アレンジやコーラス、歌い方といった部分をバンドメンバー含めて新たに創り上げていることに他ならないのだと思っています。
そうしたリハーサルの様子だったり、ステージでのパフォーマンスを拝見する度に、新たな魅力を発見することができ、楽しくも新鮮な気持ちでいる自分がいます。そして、本番に向けた練習の大切さ。良い意味で妥協しない姿勢。どちらも、私自身に問いかけられているように思います。
番組では、アーティストの楽曲に対する解釈の多様性を感じたり、「そういうアレンジワークも素敵だなぁ」と感心したりで、私の心を強く揺さぶってくる感じがするのです。メロデイーと歌詞をすでに知っている視聴者にとっては、様々な楽しみ方ができるでしょうし、初めて聴く人にとっても新鮮なものとして、心に残るのではないでしょうか。そして、そこに新たな魅力の発見もあるのだと思っています。
「音楽の楽しさ」の本質的要素は、人が集まり、"音や声"を通して、一緒にその時の時間的空間的楽しさを共有することにあるのではないか、と思ったりもします。この「楽しい」という感覚。このコラボを実演しているアーティストも観ている私達も「楽しさ」を感じることが最大のエンターテインメントだと考えています。
アレンジひとつでも、もっと言えば一音でも、お互いが理解し納得できる才能がアーティストには備わっているのかもしれません。音楽は目に見えないものであるから、その一瞬一瞬が唯一無二のモノであり、自分の頭や心に残っていくものなのでしょう。
そうした諸々の背景に思いを馳せたいものです。そしてアーティストたちによる「新たな創造的価値の付与」が溶け込むことで生まれるであろう、コラボは、番組のかけがえのない魅力の一つだと思っています。
会社では、定型化された仕事をこなすことが多くありますが、それを漫然としてこなすだけでは成長に繋がらないのではないでしょうか。それは、普通にこなしていれば何の問題もないと思いますが、ときに襲ってくる難題や課題にぶつかったときに筋道を立てて解決に向かいたいと思っています。そうしたヒントを与えてくれるのも本。"読書は人を聡明にする"と仰ってくださった、小学校のときの先生の言葉、『孤独は人を聡明にする』というフレーズが頭をよぎります。どんなに忙しい中にあっても、人生を考える時間を持ちたいと感じています。
もうひとつ、そこで考えたいことは、漫然としない姿勢を持つこと。与えられた業務を淡々とこなすことは大切ですが、そんな時でさえ"もっと良いやり方はないか"、"こうすれば、もっと分かりやすいのではないか"、"このテーマで進めてみよう"という視点を持ちたいと考えています(たとえ、それが成果物として表にでなくとも)。そうした視点はエンターテインメントでも同じことが言えるのだと感じます。自分が成長できる機会に、いつも敏感でありたいと考えています。
- 落陽 (吉田拓郎)
1973年のオリジナルアルバムに収録。アルバム「LIFE」収録。1989年録音バージョンが格好いい。哀愁のあるサウンドが情緒的な気分を醸し出しています。歌詞に魅かれました。サビからの大きなメロディ展開が心地いい。どこか懐かしく郷愁を誘う歌詞は、日本の原風景を想起させる感じ。骨太で魅力的な歌声は不滅。名曲。
私が唯一ファンクラブに入っている小田さんとのコラボが忘れられない。
夢のような時間。ギターアレンジが格好いい。ストリングスの音色もキレイに響いている。力強く骨太な歌声に、硬質なハイトーンでのハモリアレンジが融合し秀逸。真正面から捉えるアングルは、二人の圧倒的な存在感を感じる。"絵力"が半端ない。鳥肌もの。文句なくカッコいいお二人。観客のどよめきが全てを物語っている。(2013)。※
集団就職で上京してきたと言っていた会社の先輩が、カラオケでいつもこの楽曲を歌っていた。それがこの楽曲との最初の出逢い。昭和風情を感じさせる哀愁を帯びた歌詞とメロデイーに、ひときわ強く惹かれことを懐かしく思い出す記憶。
#5 出逢いへの入り口...
番組には、幅広い年代のゲストアーティストが出演します。思い起こせば、どなたも素敵な方ばかりです。正直、私があまり良く知らなかったゲストアーティストさんもいらっしゃいました。
番組を通して惹きつけられ、よく聞くようになったアーティストの楽曲もたくさんあります。その出演された素敵なアーティストのみなさんの存在もまた、番組の魅力の一つだと思うのです。取り上げる楽曲も多種多様であり、洋楽あり邦楽あり、年代も新しいものから昔の名曲までと、とても幅が広いと思います。視聴者の中には、これまで関心のなかったジャンルの楽曲もあることと思います。
私もそんな一人でした。ただ、この番組を入り口にして自分に興味のなかった、あるいは今昔問わず、知らなかった曲に出会うことができるということは、とても貴重な機会だと思っています。
人が人生の中で触れることができる楽曲の数は、どのくらいなのでしょうか。限られた人生の時間の中でより多くの音楽に触れたいと思うのは至極当然だと思います。"多様性"といったらいいのでしょうか。好きな音楽だけを聴いて過ごすのも悪くありません。でも、もし私の知らない素晴らしい楽曲があったとしたら、それを知らないでいることの方が勿体なくも思います。どの楽曲が好きになるのかは、聴いてみないと分かりません。ですから、一曲でも多く一度は聴くという姿勢でいたいと思っています。
私自身のことを言えば、幼少期から"洋楽"にはほとんど触れてこず、高校時代に熱心な洋楽ファンの友達に勧められてもあまり気が乗らなかったことが思い起こされます。一生懸命に勧めてくれた友達には、今では申し訳なかった気持ちのほうが大きいのです。
お気に入りの歌手が歌唱しているからこそ惹きつけられ、これまで関心のなかった楽曲も知りたくなったということが有り得るのだと気付きました。今では音楽への入り口なるものは、"どこでも、なんでも、だれでも"、構わないのだと思っています。そしてこの番組が、私にとってその入り口のひとつになっていることは間違いないと思っています。自分の好きな楽曲だけを聴いていては、やはり、見つめる世界が狭くなりがちになるのではないでしょうか。
そんな中で、ジャンルや今昔を問わず触れこることは感性の豊かさを増すことに繋がるのでは、とも考えています。こうした多様な音楽に触れることができることも番組の魅力の一つだと思うのです。
会社では、「それは知らないから」「興味が無いから」しいう理由で仕事をしないということは通りません。誰でもはじめは知らない所からスタートしているのですから、貪欲に「吸収してやる」という気概が必要だと思っています。
とはいえ、向き不向きということはあるでしょう。では、そんな時どうすればいいのか。どういう結果になるか分かりませんが、"努力する"ことしかないのでしょう。それで成果が出ればそれに越したことはないですが、そうでなくとも、あるテーマに向かって"努力した事実"は消えません。そして、その経験がその後のどこかで生かされるかもしれません。不得手でもやり遂げた"モノ"は、時の経過とともに輝きだすのだと信じたいです。
- THE BEATLES 1 (ザ・ビートルズ)
2000年のベストアルバム。全英、全米のチャート1位を獲得したシングル全27曲を収録。名曲揃い。世界の音楽シーンに計り知れない影響を与えた伝説のバンドです。耳に残るメロディーと色褪せることのないサウンドは比類なきものがあります。伝説のバンドであり名盤。
1970年のシングル曲。ピアノソロのイントロは永遠に残るであろう旋律。どこか哀愁のあるメロデイーライン。タイトル名が連続するサビの"3語"はインパクト大で、哀切感のある歌声が一層の情感を沸き立たせます。間奏のアレンジワークが流麗かつ洒脱で秀逸。ザ・ベスト・オブ・名曲。
私が唯一ファンクラブに入っている小田さんのカバーが忘れられない。
ピアノのイントロから心を持っていかれた。硬質な力強いハイトーンが空間を突き抜ける感じ。子供たちのバッキングコーラスはまるで天使の声のようだ。間奏のアレンジワークが素敵で、シンプルなライティングに真横からのアングルが流麗だ。クオリティの高さに脱帽と感涙。(2004)。※
洋楽の中で、一番初めに感動したのはこの楽曲だと思います。サビだけでなく、歌詞全部を覚えたのも、この楽曲が最初。もちろんリアルタイムではなく何かで聴いたのだろうと思いますが、私の人生の中のベスト3に入っていると思います。今でも気持ちをグッと持っていかれる、そんな一曲。
#6 熱量と技術...
小田さんのオリジナル曲をテレビ番組で見ることができる、聴くことができる、ということも魅力の一つだと思っています。ファンであれば、尚更この番組を愛さない理由はないのではないでしょうか。ライブなどとは少し色合いの違う歌唱・演奏を味わうことが出来るのは、貴重だと思っています。すべての人たちが頻繁にライブに行けるはずもなく、私も含めたそんな人たちには至福のときと言えるのかもしれません。
また、トークの面白さも、魅力の一つに上げないわけにはいきません。おかしみあり、辛口あり、真剣味ありと、その多彩な表現力も見所の一つではないでしょうか。人は、決して単一の面だけを持っているのではなく多彩な面があるのですから、そうした、"心の表情"を、ほんの少し垣間見ることができるのは、ある意味贅沢なことなのかもしれません。
テレビで放送される前提での収録ですから、よりチカラが込められエンターテインメント性も鑑みながらのステージングは観る人を惹きつけます。高いクオリティの歌唱・演奏であればこその素晴らしいパフォーマンス。感嘆します。
そして最後に、忘れてはいけない魅力の一つ。
番組制作スタッフの熱量と高い技術が、この番組を支えているということです。普段、何気なく番組の歌唱や演奏を楽しんでいる私ですが、作り手の努力なしに、これだけの番組ができるはずもないと思っています。そこには、舞台設営、ライティング、カメラワーク、音響、デザインなどなど、微に入り細にわたり決して粗製濫造しない制作陣の高い技術があってこそだと思います。
番組を何度も見直す度に、「あぁ、ここはこんなライティングだったのか」「このカメラアングルは斬新だなぁ」など、多くのことに気付きます。ときに、楽曲のテーマに寄せたステージメイキングに感嘆したりもしました。番組に携わる、すべてのスタッフの熱量を感じずにはいられません。
ファンクラブ会員であれば購入することができる、その年の活動記録のDVD(LIFE-SIZE)を拝見すると、前準備にいかに多く時間が割かれているのか、制作サイドとの打ち合わせ回数の多さにも驚嘆するのです。
ここからは私見ですが、最初の記事の中で書いたように、「ザ・ベストテン」のプロデューサーさんの話を思い出します。どうしたら見ている側に魅力が伝わるか、テレビの前の視聴者は何を見たがっているのか、という事が、常に考えられているようにも感じるのです。同じ局だからこその、"伝統"みたいなものがあるのでしょうか。もしそうであるならば、この上なく嬉しく思います。
エンターテインメントとは何か、を強く考えさせられたりもします。作り手と受け手とが同じ方向を向いて楽しんでいるときが最高なのかもしれません。
会社の仕事に真面目に取り組んでいるつもりでも、経験年数が経つにつれて"おろそか"になりがちです。
良くない意味での"
これを書いている私さえ、独りよがりになってしまっているのかもしれませんので、常に誠実に仕事と人に接することは忘れまいと心しています。
- あの日 あの時 (小田和正)
2016年の通算5作目のベストアルバム。シングル曲をメインに全50曲というボリュームで、これまでのヒット曲の数々を追体験できます。どの楽曲もクオリティが高く輝いていると思います。新たに録音し直しているものも多く、一般的なベストアルバムで終わらないところが素敵。"新しい何か"を発見したりもしました。
1982年のバンド時代の通算23枚目のシングル曲。後にセルフカバー。この楽曲は、バンド当時のバージョンから大きく変わっていったものの一つだと思います。アレンジや歌い方などだけではなく、楽曲の持っているメッセージさえも大きく展開していき、広く深くなってきたように感じるのです。保険会社のCM曲としても流れていました。ストリングスの音色が哀しくも切ない。高音域での硬質なハイトーンが果てしなく続いていくような錯覚に陥りました。時代を超える名曲。
私が唯一ファンクラブに入っている小田さんの歌唱・演奏が忘れられない。
仄かな青白い背景がこの楽曲の世界観にドンピシャだ。真正面に回り込むカメラワーク、遠く離れていくアングルが哀切感をそそる。いくつものピンスポは幻想的な感じ。音響の良さが尋常ではない気がする。シャウトする表情を捉えるアングルが何とも言えない。ストリングスの音色はメトロノームのように時を刻み、身を委ねたくなる。透明感のある硬質な高音がいつまでも響き渡る感じだ。感涙。(2006)。※
#7 濃密な時間...
2004年は、少し趣向を変えた形で放送されました。
小田さんのこれまでの人生に沿って、その時その時に聴いてきた楽曲で振り返るという、まさに、かけがえのない番組でした。
これまで影響を受けてきた楽曲、音楽の仕事を通じての友人、人生についての考え方、などの貴重なお話を聴くことができましたし、何より内面を少しだけ覗くことができたような、そんな気がしました。また、私自身が全く知らない楽曲にも触れることもでき、とても有意義な時間を過ごすことか出来たと感じています。とりわけ、洋楽については初めて聴く楽曲も多く、新たな発見をした気持ちで新鮮でした。
世代が下の私にとっては、昔の音楽シーンの話などはとても興味深く拝聴しました。過去の映像などでは時折に観る機会がありますが、当時青春時代を過ごしてきた方が語るリアルな話は、映像を超えて伝わってくるような気もします。
今では考えられない音楽業界の社会的状況は、いくつもの問題をはらみながらも活気が合ったようにも感じます。ですから、この番組に対する私の想いはとても強く、今後このような番組はないだろうと思っています。贅沢な時間でした。
この企画は、観る人を唸らせ考えさせ感動させてくれたものであったと思います。そして、出演されたゲストアーティストのみなさんも素敵で素晴らしく、これほど濃密な見応えのある音楽番組は滅多にないと思っています。人はそれぞれ、何がしかの音楽に触れて生きているのだと思っています。あの曲を聴くとあの場面が思い出される、という具合に、"リンク"している感じ。当時の気持ちもさることながら、匂いや肌感覚さえも、鮮明に蘇ってくるように思います。やはり音楽は、もう一つの「心のアルバム」なのだと実感するのです。
この番組をリアルタイムで観ていたときには感じませんでしたが、後々、"これは相当な事前準備が必要だったに違いない"と、放送に至るまでの皆さんの労苦に思いを馳せるようになりました。そして番組を通じて、小田さんの"メッセージ"に至るまでの一本の長い道程に感動したのです。
深夜に放送していたこの番組。仕事から帰ってきて毎週録画しながら観ていました。このDVDを観て思うのは、その内容のボリューム。とても放送枠では収まらない量で、制作サイドの編集は大変だったに違いないと思ったのです(今見返しますと、第1回の放送は43分間ですが、CM等を除くと正味32分間)。
この番組を、DVD-BOXで観ることができる事に感謝しています。
- 風のようにうたが流れていた DVD-BOX (小田和正)
2004年の同名番組のDVD作品。放送ではやむをえずカットされた楽曲やシーンも含まれていて、収録時の雰囲気を存分に味わうことができます。放送時より遥かに超える収録時間となっており、思いっきり堪能できる作品。
2005年のオリジナルアルバム収録曲。静かに始まるこの楽曲。歌詞はこの番組のテーマとなる歌への想いがつづられていると感じます。心地いい高音が、なだらかな音の階段を駆け上がっていくよう。サビからの切り裂くようなハイトーンが静寂のなかで響き渡っています。メリハリの効いたメロディーラインの展開が抜群で、シンプルな中にも鮮やかさを感じる歌唱がたまらない。名作。
追記
初回放送から観ている私にとって、小田さんのファンであることは前提としても、何に惹きつけられるのかの総棚卸しのコラムだったように思います。元気で1年でも長く続いてくれることを念願してやみません。