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私が選ぶ...小田和正さん提供曲  6選!!

作成日:2021.02.01
All written by ©masalifeclub

小田和正さんはソロとして「ラブストーリーは突然に」「キラキラ」、またCMで流れていた「言葉にできない」「たしかなこと」などのヒット曲を出しながらも、これまでに他のアーティストに何曲か楽曲を提供してもいます。そこで、今回はメロディーメーカー・プロデューサーとしての側面に着目してみたいと思います。

ギター

ここでは、私が気に入っている6曲をセレクトして紹介したいと思います。小田さんのテイストを感じることができます。また、秀逸なバッキングコーラスやアレンジメントも、見事と言える調和性を醸し出しています。


#1
たとえば (さだまさしwith小田和正)

2007年の音楽番組でお二人が共作した楽曲。放送時の音源を収録しています。ピアノのイントロから名曲の予感。静かに語り掛けるように始まります。暖かみのある優しい歌声は、ニ人組みデュオのデビュー時から変わらず魅力的。かたや硬質かつ強烈なハイトーンも心地よく響き渡っています。お互いの声がお互いを邪魔しないところが上質かつ秀逸。静かな終わり方が、余韻を充分に感じさせてくれます。作家としても才能を発揮しておられますが、深みのある語り的歌詞の言葉力が輝きを放っています。お二人の力作かつ名曲。

お二人の曲作りの際の映像は、とても興味深く拝見しました。充分すぎるほどのキャリアのあるお二人が、本気でアイデアをぶつけ合いひとつの作品を作る、その"エネルギー"たるものは凄いと率直に思いました。久しぶりにゾクゾクしたことを思い出す。感動。話し合いながらテーマを決め、さださんが書いた詞に二人で直しながらの共同作業に惹きつけられました。

●収録アルバム:「 存在理由~Raison d'etre~PR 」(さだまさし)

#2
海へ続く道 (加藤いづみ)

2014年のベストアルバム収録曲。ポップ系の明るい楽曲もバラード系の楽曲も魅力的ですが、バラード系のこの楽曲、ピアノの音色とsweetな歌声とが響きあっています。たまらない。これまたちょっぴり哀し気なピアノの旋律と、静かな中にも想いが詰まっている言葉の数々、サビの高音は私の胸に迫ってきます。愛しい声。何度も聴き返していると、この楽曲の魅力が鮮明になってくるよう。彼女の故郷への想いと関連深い作曲経緯があります。

若い時分、深夜ラジオを担当されていました。毎週聴いていました。番組卒業にあたり、これから届くリスナーからのハガキ全てに返信すると仰られ、もちろん私も送りました。その返信のハガキを、私は今も大切に持っています(番組終了は93.10、消印は95.11)。(全部で"3万枚"と話されていましたので、届いたのは2年後くらいになったのだと推測。わたしは喜びました。)この時の感動は忘れられない。ピースサインをしたご自分を模したイラストが可愛い。私の宝物。

●収録アルバム:「 My little stories-加藤いづみベスト-PR 」(加藤いづみ)

#3
別れの街 (鈴木雅之)

1989年のシングル曲。小田さんの初プロデュース作品かつ1作目。サビの高音のメロディーラインは流石。この後、この作品を含めて計3曲のプロデュースしたシングルは、どれも素敵の一言。そして鈴木さんのボーカリストとしての力量もまさまざと見せつけられた感じでした。当時、"ミスマッチ"と言われたりもしましたが、そんなことは皆無。オフコースの名曲「私の願い」を聴いて涙したという鈴木さん。二人の才能の融合は、もっと高い所へ...。3作目の「FIRST LOVEPR」も秀逸。

私が唯一ファンクラブに入っている小田さんとのコラボが忘れられない。
主旋律を歌う暖かい深みのある歌声に、下のハモリのバッキングコーラスで寄り添う硬質な歌声、そして切ないメロデイーライン、すべてがキレイに溶け合っている感じがするのだ。名曲。(2004)。※

●収録アルバム:「 MARTINIPR」(鈴木雅之)

#4
ホントだよ (柴咲コウ)

2010年のシングル曲。イントロの旋律が美しい。この楽曲も上まで幅広い音域ですが、それを感じさせずに音符の階段を自在に行き来し、低音域も響く歌声で魅力的。サビの高音の張りが素晴らしく、一つ一つの言葉が明瞭に聴こえてきます。小柄ながらパワフル、そして、何より歌唱力抜群。ストリングスとエレキが冴え渡ってもいます。小田さんの大ファンだという柴咲さん。

楽曲の随所にそのカラーを感じることができますが、それを超えて自分のテイストで色付けしていく表現力に脱帽。また、レコーディング風景での"メガネ姿"もチャーミングでした。

●収録アルバム:「 KO SHIBASAKI ALL TIME BEST 詩PR」(柴咲コウ)

#5
僕らの街で (KAT-TUN)

2006年のシングル曲。若者だからこそ出せる歌唱・雰囲気で、とてもお洒落でカッコいいと思います。未来への希望や夢を託したかのような歌詞、サビでくるハイトーンメロディーは心にズシリと突き刺さって来ます。いい楽曲。マイナーコードの洒脱的展開に脱帽。

私が唯一ファンクラブに入っている小田さんのセルフカバーが忘れられない。
このバージョンもまた秀逸。出だしと間奏のエレキのアレンジがバンド時代の楽曲を彷彿とさせます。硬質で真っすぐなハイトーンに加えて、経験を重ねてきたからこそ出てくる"重み"が声に感じます。抑えめのライティングが粋。サビから遠景で捉え出し、小田さん本人と背後の大型スクリーンに映し出される小田さんの澄み切った表情とのリンクが印象的な構図で鳥肌もの。とにかく楽曲がカッコいいの一言。(2006年)。※

●収録シングル:「 僕らの街でPR」(KAT-TUN)

#6
恋バス(矢井田瞳&恋バスBAND with 小田和正)

2008年のシングル曲。お二人の共作曲。カッコいい楽曲だなと思いました。メロデイーの随所にお二人のテイストが感じられてとても素敵な楽曲に仕上がっていると感じます。イントロやリズムアレンジに、クリスマスの雰囲気を感じたのを思い出しました。硬質な声での、輪唱的バッキングコーラスアレンジが格好いい。華やかな楽曲。

私が唯一ファンクラブに入っている小田さんとのコラボが忘れられない。
ミラーボールにイルミネーションがクリスマス的雰囲気を存分に感じさせる。控えめながらも凝ったハモリアレンジがカッコよく、メインボーカルの歌声の魅力を際立たせている。二人を捉えるアングルのシンプルさが逆にいい。バンドアレンジも洒脱。(2007)。※

●収録シングル:「 恋バスPR」(矢井田瞳&恋バスBAND with 小田和正)

小田さんテイストのメロディーラインは、ポップス、バラードどちらも素晴らしいの一言。どの楽曲もシンガーの歌声と相まって輝きを放っており、期待を裏切らないクオリティの高さと隅々まで行き届いた音符の数々。そして難しくない言葉で綴られている詞もまたストンと心に入ってきます。秀逸の作品たち。。。

ここに挙げた作品の他に...

  • [1991]忘れないわ(HI-FI-SET)・・・・・ミステリードラマ(テレ朝系)のテーマソング。
  • [1992]望むことがあるとすれば(時任三郎)・・・・・ドラマ(テレ朝系)の主題歌。
  • [1993]USED TO BE A CHILD『僕らが生まれた あの日のように』・・・・・ウェルカムベビーキャンペーンのテーマ曲。飛鳥涼さんとの共作。メンバーは、カールスモーキー石井、玉置浩二、徳永英明、浜田麻里、山本潤子。
  • [1994]夢のまた夢(鈴木雅之)・・・・・ドラマ(フジ系)の主題歌。
  • [1995]あの頃にとどけ(島倉千代子)・・・・・島倉さんの40周年のために書き下ろされ、紅白でも歌唱。
  • [1996]次の夢(中西圭三)・・・・・自働車のCM曲。作詞を担当。
  • [1996]クリスマスが過ぎても(PLUS ONE)・・・・・小田さんと佐藤竹善さんのユニット。97'WINTERキャンペーンCM曲。
  • [1997]yakusoku(河合我聞)・・・・・映画『緑の街』劇中歌。
  • [1998]小さな祈りPR(中村雅俊)・・・・・雅俊さんのミュージカルのテーマ曲。
  • [1999]SO LONG(鈴木雅之(featuring川村結花))・・・・・鈴木さんと川村さんのコラボへの提供。
  • [2002]ドライヴ(坂本サトル)・・・・・ソロ活動を始めた坂本さんへの提供。
  • [2003]ほんとの気持ち(松たか子)・・・・・この作品で交流を深めて「クリ約」への参加が増えだした。
  • [2004](GuiltyPR)(鈴木雅之)・・・・・鈴木さんのアルバム「『SUZUKI MANIA』」収録。この曲、作詞は竹内まりや、作曲は山下達郎、編曲が小田さんと豪華な顔ぶれ。
  • [2006]クリスマスの約束(ゆず)2006・・・・・「クリ約」でのユニット「ゆずおだ」の共作。
  • [2007]カオ上げて(PLUS ONE)・・・・・製薬会社のCM曲。佐藤竹善さん、大橋卓弥さんとのスペシャルユニット。
  • [2007]おやすみ(松たか子)・・・・・松さんの10周年のための書き下ろし。
  • [2008]笑ってみせてくれ(BAND FOR "SANKA")・・・・・松本さん、佐橋佳幸さんとの共作。北京五輪の日本選手団公式応援ソング。メンバーは、トータス松本、佐藤竹善、平原綾香、藤井フミヤ、松たか子、宮沢和史ほか。
  • [2008]思い出はうたになったPR(スターダストレビュー)・・・・・スタレビ25周年のために作詞を担当。
  • [2009]手紙にかえて(財津和夫)・・・・・還暦の財津さんに提供。

(一部敬称略)。

この後は、Kiroroの玉城千春さん(2011)、清水翔太さん(2012)、などへのプロデュース的な関わりが主に出てきています(もちろん、これまでも何人かへのプロデュースはされております)。こうしてみると、コンスタントに楽曲を提供したりプロデュースをしたりと、いろんな人との関わりを継続しているのだなぁと思わずにはいられません。

これらの提供楽曲は、聴き込む度にメロディーの一音一音にそのテイストが感じられます。それを、ボーカリストのみなさんが自分の中に落とし込み、昇華させていると感じます。とてもクオリティの高いところで溶け合っている感じ。好きな楽曲ばかり6曲を選んでみましたが、いかがでしょうか。

もともと、楽曲提供はそれほど多くはない小田さん。そうした中でのいろんなジャンルのアーティストとの関わりは、大変貴重なものだというのが私の感想です。ここに紹介しきれない楽曲もいくつかありますが、なかなか味わい深いモノばかりです。

どこかで、女子に曲を書くのは得意ではないとお話されていたかと思いますが、その出来上がりを聴くとそんなことは微塵もありません。素敵に融合されていて歌い手さんの良さを十二分に引き出しています。

80年代アイドル」コラムでも書きましたが、当時のシンガーソングライターたちによるアイドルへの楽曲提供はかなりありました。財津和夫さんやユーミンが多いのに対して、小田さんの提供曲は皆無でした。これはバンドとしてヒットした時期が他のシンガーソングライターに比べて遅かったことに加えて、方向性の違いやオファーの有無が関係していると思っています。比較的大人のシンガーへの提供になっていますが、それも90年代に入ってから。小田さんの旋律譜はかなり凝っており難しいらしいので、そのあたりも関係してそう。人それぞれですね。

作詞作曲する場合には、99%メロディーから作るとおっしゃっていました。歌詞を書くのはツライ云々とも。にわかには信じられないのですが、頭の中に最終のカタチまで練り上げて書くということも凄いこと。バッハやモーツァルト達のクラシックの名曲に歌詞は有るのだろうかと、ふと思いました。ああいう天才たちに通じるものがあるような気がしています。重層的な、いわゆるオーケストラ的な感性も頭抜けているモノを感じたりもします。一曲でも多く聴きたいと思うのです。

小田さんの場合、単なる楽曲提供というものではなく、プロデュース的要素がかなり入っているように感じます。音楽番組「クリスマスの約束」でもそうですが、企画段階から自分が関わるということが前提条件と思っているのかもしれません。映画も2本監督していますが、みんなで何かを作り上げることが好きなのかも。逆に言えば、楽曲にしても映画にしても「自分が責任をもつ」ことを明確化しているようにも思います。それは自分を追い込むことにもなりますので、なかかな厳しいことです。自分に厳しい人、それが小田さん...。