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社会福祉士の養成専門学校のレポート課題
part1

作成日:2022.02.11
All written by ©masalifeclub

社会福祉士の資格取得を目指して...

思うところあり、一念発起して通信制の社会福祉士コースを受講しました。私は一般の4大卒ですので、専門学校経由での受験資格取得を目指しました。もちろん働きながらですので通信制一択。

基本的にはテキストを読み込み理解しながら、テキスト毎のテーマや課題に対してレポートを書いていきます。社会人になってからは簡潔な文章が求められますので、大学の卒論以来の長めの文章を書くことに最初は戸惑いました。

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関心を持ったきっかけ & レポートとの格闘...

最初から『福祉』の分野に関心があったわけではありません。肉親の闘病、私自身の深刻な病気が要因としてあったと思います。

社会的弱者と呼ばれる人の立場になってみて、初めて福祉の重要性を実感しました。そのための知識や考え方などを理解したいという欲求が芽生えたのだと思います。

実際にやり始めてみるとその分量の多さに驚きました。最後まで完走できるか、とても自信がありませんでした。ここからは、様々なテーマに対する私の回答を、いろいろと思い返しながら書いてみたいと思います。

レポート用紙

追記:
実務経験がありませんので、最後には『研修』があるのですがそこは割愛します。


#1 社会理論と社会システム

課題テーマ

経済動向や雇用動向の変化とともに、近年格差社会が指摘されるようになったが、社会学的角度から『格差社会と社会福祉』についてまとめなさい。
(1500文字以内)

★私の回答文

第2次世界大戦後の日本の経済・雇用動向を見ていくことにしたい。まず戦後から高度成長期であるが、これは敗戦後の米国主導による資本主義経済の導入が大きく影響しているが、輸出産業の発展などにより本格的な高度経済成長を実現していったのである。この時期の雇用状況は比較的良好であり、完全失業率も1%台と低く、また総じて労働者間の所得格差もそれほど大きくなかった。「終身雇用」といった日本独特の企業文化が果たした役割も大きい。

次に第1次・2次オイルショック期であるが、1973年の第4次中東戦争の勃発によりOPECによる原油価格の引き上げがなされ、それに伴い石油価格が高騰に端を発して、1974年には戦後初のマイナス成長となり、高度経済成長は終焉を迎えることになった。この時期の雇用状況は、経済成長の鈍化に比例して雇用の需給バランスが出始め、失業率は2%台を推移している。

次にバブル経済期である。貿易摩擦解消のためプラザ合意により円高ドル安の方向性が打ち出され、政府の低金利政策の継続により過度な経済拡大を招くことになった。この時期の雇用は企業の好業績を背景に労働市場は売り手市場となり学生の獲得競争が激化し、失業率も2%台前半と概ね安定していた。

次にバブル経済の崩壊以降であるが、バブル経済の実体から大幅にかい離した資産価格の上昇は、信用収縮、金融引締策の影響による株や土地の資産下落によりバブル経済は崩壊した。今日までの経済低迷が「失われた20年」といわれるゆえんであり、ひいては現在の格差社会の発生につながっているともいわれる。この時期から雇用状態は変化し、非正規雇用への流れが加速し始めた。こうした傾向は、常に失業の危険性をもち、また失業率も3%を超え5%台を示した時期もある。

ここで格差社会について考えてみようと思う。非正規雇用者の低所得化が進む一方で、高所得者層も増加した。成果主義による高額な報酬、IT長者といわれた起業家、投資により巨額な利益を得た投資家など、いわゆる「勝ち組」と呼ばれる階層といわゆる「負け組」との所得格差が顕在化するようになり、「格差社会」という言葉が使われるようになった。社会学的にいえば、市場経済は多くの制度や活動という社会に支えられてはじめて、その力を発揮できるのであり、経済は社会の一部であり社会的制御によって円滑な経済活動がなされるのである。そしてその制御の一つに「社会福祉」というカテゴリが存在するものと考えられる。

最後に格差社会の進行が社会福祉に与える影響であるがバブル崩壊に伴い「勝ち組」「負け組」といった表現がなされるようになり、所得格差の拡大が一般的に認識されるようになってきた。社会福祉の観点からみれば貧困層における経済状況が重要であるが、動向としては、経済的弱者の一層の弱体化、格差の固定化、貧困の世代間継承などがあげられる。社会福祉への影響としては、まず福祉コストの増加があげられる。

2000年以降、福祉サービスは応益負担の概念が導入され利用者が民間も含めてサービスを自ら選択し購買するようになったが、利用者の多くは高齢者や障がい者などの低所得者であり、充分なサービスを享受することが難しい状況にある。つまり利用者の経済力によって享受できるサービスに大きな差が生じるということである。「勝ち組」といわれる富裕層は高い経済力故に高度な医療・福祉サービスを享受できる。こうしたことは、不公平感と財政の圧迫を生じさせる。「社会福祉」とは誰に何を供給すべきかを今一度考える必要が早急に求められているであろう。(1477文字)


振り返って...

課題に対する論述が最終段落にしか述べることができていませんでした。第一、第二段落の内容は少なめにし、格差社会・福祉に論点を充てた記述を増やすべきだったのだろうと感じています。評点:70点(評価B)合格
keyword:格差社会が及ぼす福祉への影響etc...

#2 現代社会と福祉1

課題テーマ

『福祉政策』と社会政策や社会福祉政策との違いについてまとめなさい。
(1500文字以内)

★私の回答文

現代社会においては、公共政策は「秩序維持政策」「経済政策」「社会政策」に大きく大別できる。「秩序維持政策」とは警察・消防などの社会の秩序維持に関するものである。次に「経済政策」とは経済システムの安定と成長を目指すものであり金融政策や産業政策などがある。そして「社会政策」とは市民生活の安定と向上を目指すものであり雇用・社会保障・住宅・教育といった領域である。

この社会政策は、第二次大戦後の人口の高齢化などの社会構造の変化により重要性が増し社会福祉の拡充が求められてきた。そして社会福祉は年々、多様化・複雑化・高度化する福祉ニーズに応えるため、隣接する保健、医療、教育といった政策や人権擁護、後見制度、住宅政策など広く関連する政策との連携といった分野横断的アプローチが求められてきている。また 社会福祉を、社会政策を構成する多様なサービスの一つと位置づけることができるが、それを「社会福祉のL字構造」と呼んでいる。すなわち社会政策とは、現代社会において個人や地域社会、社会制度に介入し、社会の統合、社会資源の適正分配、市民生活の安定などを目的に、国や自治体、民間組織などによる社会サービスとそれに関連する活動などの方向性を示す原理の総体ととらえることができ、従来、広義の福祉政策と呼ばれてきたものである。

次に社会福祉政策とは、何であるかを考えてみる。人が様々な理由で他者の援助や支援が必要になった場合に、保育・介助・介護などの対人サービスで提供されうるが、こうしたサービスをわが国では福祉サービスと呼んでいる。社会福祉法で規定されている福祉サービスを提供するために実施される事業を「社会福祉を目的とする事業」と呼びこのうち公共性の強い一定の範囲のものを「社会福祉事業」と規定している。そしてこうした社会事業や社会福祉サービスに関係する社会政策が社会福祉政策である。これは従来、狭義の福祉政策と呼ばれてきたものである。

では福祉政策とはどういうものであろうか。従来は社会政策とは広義の福祉政策であり、国民全体の幸福を目指し、社会福祉政策とは狭義の福祉政策であり、社会的に弱い立場にある人への援助や支援をすることを意味してきた。しかし社会福祉法及び介護福祉法の改正により登場してきた福祉政策という概念は、これまでの概念とは異なると受け止めるのが適切だろう。古川孝順は福祉政策とは「従来の社会福祉(政策)を基幹的な部分としながら、所得保障、保健サービス、医療サービス、更生保護、司法福祉(青少年サービス)、人権擁護、後見制度、住宅政策、まちづくり政策などと部分的に重なり合い、あるいはそれらの社会政策との連絡調整、協働を通じて展開される施策」と概念づけている。古川が「福祉政策のブロッコリー型構造」と表しているように、社会福祉を軸に展開される施策コラボレーションの態様である。

つまり福祉政策とは社会政策と社会福祉政策の中間に位置し、社会福祉政策と社会福祉政策以外の社会政策の領域に属する福祉から成り立っている。福祉政策の基幹部は、社会福祉政法の第一種社会福祉事業に相当し伝統的に社会福祉政策と考えられてきた部分である。社会政策との関連部は、これまでの社会福祉政策では取り上げられることの少なかった領域であり、新たに社会政策との関連のなかで浮上してきた部分である。今後の社会福祉事業や福祉サービスは、社会福祉政策単独ではその実現は難しく、社会政策との連携なしには考えられない。こうした連動性をもった政策が福祉政策という新しい概念のもとに追及されていくことが求められているのである。(1483文字)


振り返って...

少しダラダラと書き過ぎている面が否めません。もう少し纏めて述べることができればよかったと思います。また福祉政策は、社会政策等と密接にかかわっており相互補完的なものです。福祉国家というアングルから整理すると福祉政策導入の背景が浮かび上がってくるとも思います。評点:70点(評価B)合格
keyword:社会福祉のL字構造etc...

#3 障害者に対する支援と障害者自立支援制度

課題テーマ

『障害者自立支援法』の動向についてまとめなさい。
(1500文字以内)

★私の回答文

「障害者支援法」は2005年11月に、障がい者の自立支援を推進するために公布されたものである。従来の介護保険制度に障害者福祉が馴染むのかという問題に対して、介護保険制度により全ての障害者サービスを担うのではなく、それ以外のサービスとの総合的・弾力的な支援体制が求められてきたのである。具体的には2003年4月にノーマライゼーションの理念に基づき、従来の「措置制度」から「支援費制度」への転換がなされたのだが、その支援費制度には、障害種別の縦割りサービス、精神障害者が対象外であること、支給決定の不透明性等の問題が指摘されていた。こうした制度上の諸問題を解決すべく「障害者支援法」が制定されたのである。その目的は当該法の第一条にあるように関連法と連動して障害者の能力や適性に応じて、自立した社会生活を地域でおくるという「共生社会」の実現を目指すものである。「障害者支援法」の大きな要点は5つである。1つは障害の種別(身体・知的・精神)で区分けしないサービスの一元化である。2つは身近な市町村の責任によるサービス提供主体の一元化である。3つは障害程度区分を導入による支給決定手続きの明確化である。4つは就労移行支援事業等の就労支援の強化である。5つは応益負担の実施等による安定的な財源の確保である。

そのサービスの内容としては、個々の障害者の障害程度や居住等をふまえて個別給付がなされる「自立支援給付」と、市町村の創意工夫により柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別できる。前者は、介護給付費、訓練給付費、自立支援医療費、補装具費などがある。後者は、相談支援事業、コミュニケーション支援事業、日常生活用具給付事業、移動支援事業などがある。こうして施行された障害者自立支援法であるが、身体・知的・精神障害者への支援の一元化を行ったものの、福祉サービスを利用した障害者が、費用の1割を支払う応益負担を原則としたため、障害が重く、多くのサービスを必要とする人ほど負担が大きくなるという批判が集まっていた。また、障害者自立支援法は将来の廃止が決まっており、これに代わる新法「障害者総合福祉法(仮称)」を制定すべく政府は議論を進めているのだが、その間の制度の改善のためのつなぎの緊急措置として、2010年12月に「改正障害者自立支援法」が成立した。改正点としては、従来の応益負担から家計の支払能力に応じて支払額を決める「応能負担」へと変更した。これは低所得層の負担の減免が法律上定められたことを意味する。また福祉サービスの対象に発達障害も追加した。自閉症や学習障害などがこれにあたる。さらに新たな給付として、グループホーム等を利用する個人への助成を規定した。障害児に対しては放課後型デイサービスを制度化した。

最後に新法「障害者総合福祉法(仮称)」の制定に向けた課題についてふれておきたい。2010年6月7日に障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が、重点課題として以下の4点を挙げている。1)利用者負担の見直し(自立支援医療においても低所得者の自己負担の無料化など)2)法の対象となる障害の範囲の見直し(障害者手帳を所持しない人たち等が必要な支援を受けられるように申請に際しての必要な手続きの設定など)3)地域での自立した暮らしのための支援の充実(市町村への財政支援強化や障害程度区分を支給決定量の上限としないことなど)4)新法作成準備のための調査、情報収集、試行事業実施についての予算措置である。こうした課題以外の諸課題についても早急に検討を進めることが重要である。(1442文字)


振り返って...

障害者自立支援法の歴史的背景を主に論述しつつ、その改正法の課題や問題点を整理して書いたつもりでした。施策や法律を整理して理解する必要があると思います。評点:80点(評価A)合格
keyword:応益負担、障害者総合福祉法、自立支援etc...

#4 相談援助の理論と方法1

課題テーマ

ソーシャルワークの構造とソーシャルワークの機能について『人と環境との関係』を踏まえつつまとめなさい。
(1500文字以内)

★私の回答文

社会福祉士業務の「相談援助」は「ソーシャルワーク」である。国際ソーシャルワーカー連盟と国際ソーシャルワーク学校連盟が、示した定義では「ソーシャルワーク専門職は、人間の福利の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人びとのエンパワーメントと解放を促していく」としており、ソーシャルワーカーが個々人の社会生活機能を向上させることにあるといえ「人と環境」へのアプローチが重要である。人と環境との関係性についてであるが、これはそれぞれが相互に影響しあう「交互作用関係」にあるといえる。ここでいう「人」とは、単に個人だけを指すのではなく、家族、小集団・組織、地域社会なども含むものであり、福祉学的に「クライエント」と総称されている。このクライエントと環境との関連性は、人々が社会生活を営む上で非常に重要であり、クライエントとそれを支える環境との機能的な問題、つまり個人、家族、小集団・組織、地域社会における諸問題を解決し、人々の社会生活機能を向上させることが重要である。クライエントについては、「ストレングス」という考え方があるが、それは、個人、家族、小集団・組織、地域社会には負の側面だけではなく強さも併せ持っていると捉えるものである。こうした考えは、クライエントへのという価値基準を加えることにより、そのストレングスを用いて自ら克服していくような支援の構築を促進させたといえ、また従来の医学モデルから生活モデルへの転換を促した意味でとても重要である。

次に、ここでいう「環境」とは通説的に「社会資源」を意味しており、「ソーシャルニーズを充足するために動員される施設・設備、資金や物資、さらに集団や個人の有する知識や技能を総称していう」とされているが、この資源という考えは極めて重要である。なぜならソーシャルワーカーにとって人々の内的な資源と彼らの生活上の外的な社会資源とを合致させることが、本来的業務であるからである。内的資源とはクライエント自身の可能性や能力と考える。そして合致させるだけではなく、クライエントの能力を向上させ、また様々な社会資源の開発に努めることが、肝要である。また社会資源の枠組みについて考えてみる。社会資源を3つの側面から捉えることが有効である。まず1つ目の軸は「クライエンのニーズ」であるが、これは7つのニーズに分類可能である。経済的な安定を求めるニーズ、就労の機会を求めるニーズ、身体的・精神的な健康を求めるニーズ、教育や文化・娯楽の機会を求めるニーズ、居住の場に対するニーズ、家族や地域での個別的な生活の維持に対するニーズ、公正や安全を求めるニーズである。2つ目の軸は「供給主体」である。まずフォーマルなものとインフォーマルなものに分けられる。前者は民間法人、行政、非営利法人、団体・組織であり、後者はボランティア、近隣住民、友人・同僚、親戚、家族成員である。3つ目の軸は、「質的内容」である。これは物的なものと人的なものに分けられ、前者は金銭や物資、施設、制度などであり、後者は知識や技能、善意や情報などである。社会資源はこうした3次元的構造をなしていると捉えられる。

これらの観点から、ソーシャルワークの機能は、人と環境の相互関連性において以下の3つに整理可能である。人と環境とを調整する機能、人の対処能力を強化する機能、環境を修正・開発する機能である。より詳細には、ピンカスやミナハン、岡村が示しているが、ソーシャルークは、これら人と環境との関係性を重視しつつ、クライエントの利益に供していくことが重要なのである。(1483文字)


振り返って...

ソーシャルワークの展開を地域社会までも含めて論述したのですが、いささか薄い記述だなぁと自分でも感じました。社会資源の枠組みを人と環境の構造的関連性についても書いたつもりでした。個人のみでは解決できない問題であることを理解しておく必要がありそうです。評点:80点(評価A)合格
keyword:ストレングス、社会的資源etc...

#5 心理学理論と心理的支援

課題テーマ

脳障害による思考や精神の機能障害を抱える人と、その家族への援助について、その心理的特徴から考え適切な支援法をまとめなさい。
(1500文字以内)

★私の回答文

脳障害の中の「高次脳機能障害」は、外傷性脳損傷や脳血管障害などの後遺症として様々な障害を伴うものであり、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、この中にはいわゆる巣症状としての失語・失行・失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが含まれる。それらの多くは障害そのものの困難性だけでなく、外見上わかりにくいという特性から、当事者および家族、周囲の人々を困惑させることが多い。以下代表的な障害の種類を挙げる。

「記憶障害」では、過去の出来事を思い出せなくなったり、新しい出来事を覚えることが困難になる。「注意障害」では、注意の大きさがせまくなったり、注意を集中し継続することが困難になったりする。「遂行機能障害」では、なかなか作業を始められなかったり、途中でやめられなかったりする。また、目標を決めて実行し結果をフィードバックすることが困難になる。「半側空間無視」では、対象物の片側を見落としたりする。左側の食べ物を残すといったことが見受けられる。また行動と感情の障害が見られることも多く、うつ状態や躁状態、無感情過剰反応などがみられる。社会生活上においては、具体的には、約束の時間に間に合わない、どの仕事も途中で投げ出してしまう、ぼんやりとしている、何度も繰り返し質問する、お金を気前よく使ってしまう、などがある。こうした症状は家庭、職場ともにコミュニケーションや業務に支障が生じる。

当事者はもちろんではあるが、家族にとってもその心理的負担は極めて大きい。発症時にはその現実を受け入れがたく、大きな悲しみと困惑を抱え込むことになる。また在宅での生活では、家族の支援によるところが大きいため、介護支援という側面でも身体的に非常に大きな負荷がかかっくる。またうまくコミュニケーションがとれないために常に感情的になってしまうことも少なくない。こうした家族の心身状態については、落馬した騎手が高次脳機能障害となり、その闘病からリハビリまでをその妻が執筆した「落馬脳挫傷」((株)エンターブレイン刊 石山衣織著)に詳細に書かれているが、想像を絶するものがある。そうした家族を支えたものは、本書の中でも再三述べられているように、医療スタッフや仲間などの周りの人のサポートである。家族内だけでの支援には自ずと限界があるのである。

そうした支援について、国立障害者リハビリテーションセンターは大きく3つの側面を挙げている。「環境調整支援」「生活・介護支援」「家族支援」である。「環境調整支援」には①生活の基盤整備②環境の調整整備がある。「生活・介護支援」には①身体介助支援②生活支援③健康管理支援④相談支援⑤活動参加支援⑤コミュニケーション支援などがある。「家族支援」では家族の悩みや苦しみに耳を傾け精神的ストレスを軽減したり、セミナーに参加することにより同じような障害を抱えた家族が多数もいることを認識し勇気づけられたりする。また施設の活用などによる家族負担の軽減なども必要であろう。

家族を支援するためには、家族が抱えている諸問題を一緒に考え、解決への道を探るとともに、地域社会との連携も模索していくことが必要である。また高度脳機能障害者に対する相談支援は、障害者自立支援法により「障害者専門性の高い相談支援」とされており、社会福祉士や作業療法士などの「支援コーディネーター」を利用し、またリハビリテーションセンターや大学病院などの関係機関と連携して適切な支援を行っていくことが重要になっているのである。(1449文字)


振り返って...

高次脳機能障害について具体的に論述したのですが、これは以前に参考文献などで知識があったためだと思います。具体性のある内容は読む人に理解してもらう近道でもあるのだと感じます。評点:100点(評価A)合格
keyword:高次脳機能障害、支援コーディネーターetc...

#6 相談援助の基盤と専門職1

課題テーマ

ソーシャルワーク実践の根拠についてまとめなさい。
(1500文字以内)

★私の回答文

ソーシャルワークを実践していく上で重要なものは何であろうか?それは逆にいえばソーシャルワーカーの行動に影響を及ぼすものが何であるかという事に他ならない。それは「価値」「理念」「原則」という根源的な概念を認識しているかどうかが重要になってくる。「価値」には、①良いといわれる性質②好き嫌いの対象となる性質③団体や集団の構成員が共有するよい性質④誰もが良いとする普遍的な性質、などがある。また、個人の価値観は人それぞれであり、ソーシャルワーカーも例外ではない。ソーシャルワーカーは自分を用いて人の支援をする職業であるので、自分の価値観を充分に知っておく必要がある。クライエントとの信頼関係を築くためには、自分の価値観を押しつけず、批判や審判をしないという「受容」と「緋審判的態度」が求められる。また、所属する施設や機関といった組織の価値観と、専門職としてのソーシャルワーカーの価値観との相違から葛藤が生じることもある。こうした際、ソーシャルワーカーは可能な限りソーシャルワーカーとしての価値の実現にむけて、工夫をする努力が必要である。

価値は、ソーシャルワーカーが対象者の選定やその支援の方向性、ソーシャルワーカーの時間の費やし方など多くの場面で影響を与える。そして法律や指針、ガイドラインといった判断材料を一義的に考えるとしても、判断場面が不明確な場合にはソーシャルワーカーの価値で判断していくことになるのだから価値を身につけることは重要である。「理念」とは人々の決断や解釈の目的とされるものであり、価値を反映したその理念に向かってソーシャルワークの実践を行うのである。「原則」とは人間の活動の根本的な規則のことであり、原則から外れた活動は認められない。こうした価値基準は人々の判断や行動、実践などの方向性に影響を与える。とりわけソーシャルワーカーにとっては、これら価値から導き出される「人権尊重」「社会正義」という原理が概念としては重要である。まず「人権尊重」であるが、人は生まれながらにして固有の権利を持っている。これは何人も侵すことのできないものであり尊重されなければならない。ソーシャルワーカーはどんな状況にある人に対しても、人間固有の権利が尊重されるように支援し、行動しなければならないのである。

次に「社会正義」であるが、社会に正義があることを意味するが、皆が平等に扱われるよう、または不平等状態にあるものを解消するための支援を行わなければならない。そしてこれらを実現させるためにさらに「尊厳の保持」「利用者本位」「平等」「民主主義」「相互援助」といった概念も人権尊重・社会正義の実現には大切な概念である。歴史的に貧困者や障害者などの社会的弱者は、その人権が充分に重視されてきてはいなかった。憲法25条の生存権を根拠に、その獲得の歴史であったといってもいい。その獲得した権利の保障を具現化する活動がソーシャルワークであるといえる。社会的弱者はその権利を行使するための手続きや意思表示が困難である傾向にあることから、「権利擁護」という極めて重要な概念がソーシャルワーカーには不可欠である。ソーシャルワークを実践する上で権利擁護の主な内容を以下に示すことにする。まず、すでに権利侵害が発生している場合は、主張、調整、交渉、対決など、権利保障がなされない危険性のある場合は、情報提供、理解の支援、判断の支援、意思表示の支援などが求められるのである。(1424文字)


振り返って...

社会福祉の対象者が広範化する中で大切なものを、専門性や概念を基軸に論述したのですが、もう少し深堀りしてもよかったかなぁと想いました。評点:80点(評価A)合格
keyword:権利擁護、社会正義、価値観etc...

#7 相談援助演習1

課題テーマ

ソーシャルワーク実践の根拠についてまとめなさい。
(1500文字以内)

★私の回答文

社会福祉士の大きな役割として「相談援助」があるが、その基礎となるのが、利用者との面接である。その面接においては、①クライエントから何らかの課題や機能の達成のために必要な情報を得ること②クライエントのニーズの充足や問題解決に向けての協同作業を行うこと③アクションシステムを形成すること、目的として行われる。こうした面接の目的や意味を充分に理解した上で、最も効果的な技法を用いて面接を行うことが重要になってくる。ソーシャルワークにおける面接は、基本的にクライエントとの対面によるものであるので、コミュニケーションをいかに円滑かつ効果的にとるかということが、大切になってくるのである。そこで主なコミュニケーションの技法について、整理したみたいと思う。

第一は「傾聴」という姿勢が大事であり、「うなづきや相づち」といった技法である。クライエントの話すことを真剣に聴くということであるが、その際に首を縦に振ってうなづいたり、「あっ、そうですかー」と相づちを打ったりと反応を示しながら聴くことで、明確に聴いているということを相手に伝えることができる。また、適切な質問や促しなどにより、話を引き出すといったことも重要である。 第二は「共感」であり、「共感と励まし」といった技法である。クライエントの感情をワーカーが自分の感情として理解し積極的に解ろうとすることが重要である。「このままでは身体を壊してしまいます。」と言うクライエントに、「眠れない日が続くと、お辛いですよね。」と、ワーカーが理解し共感していることを、伝えることが重要である。また励ましの言葉は、クライエントの状況によっては毒にも薬にもなりえるので、注意しながら使うことが必要である。第三は「質問」であり、「開かれた質問と閉ざされた質問」といった技法である。閉ざされた質問とは、「昨日はよく眠れましたか」など「はい」や「いいえ」で答えられる質問である。一方開かれた質問とは、「どのような問題でお悩みですか」など考えなければ答えられない質問である。面接においては、両者をうまく組み合わせて用いることが重要であるが、閉ざされた質問は、事実確認など最低限に抑え、できるだけ開かれた質問をしていくことが大切である。

第四は「沈黙と明確化」といった技法である。沈黙とは話している途中で「えっとー、そのー」とクライエントが言葉に詰まるなどしたときに、黙って待つということである。ただいつまでも言葉が出てこないと、話が進まず、クライエントが苦痛になるので、「~ということですか?」とワーカーが代わって明確にすることも必要になり、これを明確化と呼んでいる。第五は「繰り返しと要約」という技法である。繰り返しは、例えば「昨日も何度も寝返りを打ち、何時間もしてから、ようやく眠れました」というクライエントの言葉を、「何時間もかかったのですね」と繰り返す聴き方である。話の腰を折らないように、切りのよい節目だけを繰り返すことが大切であり効果的である。要約とは、クライエントの話を「要するに~ですね」と、要点だけを要約して返すことである。それにより正確にメッセージを共有することができ、また問題点を整理してあげることもできる。これらのコミュニケーション技法以外にも、語調や声の抑揚、会話の速さ、表情、適切な敬語表現なども大切な要素であり、これら言語、準言語、非言語コミュニケーション技法を組み合わせていくことが大切である。(1421文字)


振り返って...

コミュニケーション技法について具体例を示しながら論述しました。今思えば、さらにもう少し俯瞰的な説明を加えてもよかったかなと思います。評点:80点(評価A)合格
keyword:5つの技法、面接、信頼関係etc...

次は、Part2です。

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私が持っているCD/DVDの中から。

2018年のシングル曲(4曲入り)。映画の主題曲。流れるようなメロディーラインとシンプルなアレンジ。サビからの硬質なハイトーンが美しい。ストリングスとの調和も見事。優しさと芯を貫く硬質さがミックスされている気がします。また歌声の強弱のメリハリが際立っていていい。転調からのサビへの展開は、耳に心地よく妙に新鮮に感じます。