社会福祉士の養成専門学校のレポート課題
part2
#8 相談援助実習指導1
社会福祉士に期待される役割と専門性について述べなさい。
(1500文字以内)
社会福祉士制度は、昭和63年に施行されたが、現在に至るまでの間に、社会状況や経済状況など社会福祉士を取り巻く状況は大きく変わってきている。これまでの措置制度から契約制度への変更やそれに伴う利用者の権利擁護などが、より一層重要になってきており、また平成18年の障害者自立支援法の施行により、障害者の生活支援が強く求められてきている。また、生活保護制度においては、自立支援プログラムの仕組みが導入されている。こうした変化の中で、社会福祉士が今後活躍を期待される分野として、①地域包括支援センター等における地域を基盤とした相談援助②相談支援事業や就労支援事業による障害者の地域生活支援③生活保護制度における自立支援プログラムによる就労支援の推進④権利擁護、成年後見制度等の新しいサービスの利用支援⑤地域福祉計画の策定等の新しい行政ニーズへの対応、などがあり、社会福祉士が携わる業務は拡大してきているといえる。
そこで、上記の業務に対応すめために、これまでの福祉サービスを介した相談援助のほかに、利用者の能力に応じて尊厳をもった自立生活を営むことができるよう、その他の関連する諸サービスと有機的な連携をもって総合的かつ包括的に援助していくことが求められる。具体的には、既存の各種サービスの間のネットワーク形成を図るとともに、地域の福祉ニーズを的確に把握し、必要なサービスの不足がある場合にはその創出を働きかけることや、虐待防止、就労支援、権利擁護、孤立防止、いきがい創出、健康維持等について、関連するサービスとのチームアプローチも含め、それぞれの専門分野の担当者との連携を図り、自ら解決することのできない課題については、当該担当者への橋渡しを行い、その解決を図ることが新たに期待されるのである。よって新たな役割としては、①福祉課題を抱えた者からの相談に応じ、必要に応じてサービス利用を支援するなど、その解決を自ら支援する役割②利用者がその有する能力に応じて、尊厳をもった自立生活を営むことができるよう、関係する様々な専門職や事業者、ボランティア等との連携を図り、自ら解決することのできない課題については当該担当者への橋渡しを行い、総合的かつ包括的に援助していく役割③地域の福祉課題の把握や社会資源の調整・開発、ネットワークの形成を図るなど、地域福祉の増進に働きかける役割、等を適切に果たしていくことが求められているのである。
今後、社会福祉士がこうした役割を適切に果たしていくためには、それに応じた知識や技術といった専門性の向上が必須である。つまり利用者への総合的・包括的サービスを提供するにあたって必要となってくる専門的知識や虐待防止、権利擁護、健康維持等に関わる関連サービス係る基礎的知識が求められてくることになる。また利用者支援の観点から地域において適切なサービスの選択を支援する技術や、サービス提供者間のネットワークを図る技術、地域の福祉ニーズを把握し、不足するサービスの創出を働きかける技術等が求められることとなる。そして、さらに専門職としての高い自覚と倫理の確立や利用者本位の立場に立った活動が、これまで以上に強く求められてくることは言うまでもないであろう。(1329文字)
振り返って...
歴史的背景や期待される役割や専門性を整理して論述したのですが、時代が大きく変っていく昨今における役割を、もう少し書き加えてもよかったかもと思います。評点:80点(評価A)合格
keyword:自立支援プログラム、チームアプローチ、利用者支援etc...
#9 相談援助の理論と方法2
近年の地域を基盤としたソーシャルワーク実践の必要性の高まりの中で、アウトリーチが重要視されている理由について述べなさい。
(1500文字以内)
自ら援助を求めてこないクライエントはインボランタリー・クライエントと呼ばれるが、彼らは専門職に会うことに圧力を感じており、援助を利用する動機づけに乏しかったりする。そのため社会的に孤立しがちで、支援ネットワークの外に置かれていることが多い。そこで、ソーシャルワーカーが、問題を抱えた人がいる地域社会やその人たちの生活空間に出向き、相談援助というサービスを提供することが必要になってくるのであり、これをアウトリーチと呼んでいる。アウトリーチの対象となる個人や家族は、①抱えている問題が複数でかつ慢性化している②極度に社会的孤立状況にある③周囲に対して強い不信感を持っている、等の特徴がある。近年では、一人暮らしの認知症高齢者や「認認介護」の状態にある人たち、精神疾患の症状がでているが治療を受けていない人たち、年齢を問わず虐待や権利侵害を受けている人たちなど、専門職からの積極的なアプローチが必要不可欠な人たちが数多く存在するようになってきている。また、地域住民への教育・啓発活動を行うことの重要性も高まってきている。こうしたことから、益々アウトリーチが重要になってきているのである。
では、アウトリーチの機能とはどういうものがあるのであろうか。大きく5つの機能があげられる。第一に「ニーズの掘り起こし」である。アウトリーチを必要とする人たちは、自ら援助を求めようとしないので、ワーカーが地域に出向きクライエントを積極的に発見することが求められる。第二に「情報提供」である。インボランタリー・クライエントが援助を受けようとしない理由は様々であるが、中には情報量の不足や誤った情報の保持により、援助に対して充分に理解していない場合も考えられる。よって、ワーカーは適切な情報をクライエントに提供し正しい理解を促すことが重要である。第三に「サービス提供」である。インボランタリー・クライエントに対して、クライエントの生活空間に出向き相談や直接サービスを提供することが極めて重要である。そのために、クライエントが援助を受け入れる心構えに変化させる必要があるが、そこでクライエントとの信頼関係の構築を図り、またクライエントが自ら置かれている状況を変えたいとという気持ちを高めていくことで、抵抗感を軽減しサービス利用へとつなげていく支援が必要になってくる。第四に「地域づくり」である。インボランタリー・クライエントの発見はワーカーだけの努力では困難である。そこでクライエントをすでに発見している地域住民とのつながりを構築することが重要である。
次にアウトリーチの方法であるが、第一に「ケース発見」である。インボランタリー・クライエントを発見した場合、クライエントに積極的に働きかけ、援助過程に引き入れようと信頼関係の構築する努力をする。そこでは、ワーカーに対しての「秘密を守ってくれる」「途中で投げ出さない」などの信頼感の創出により継続的な信頼関係を構築することができる。第二に「アセスメント」である。アセスメントとは情報収集と分析であるが、クライエントに関わる人たちのカンファレンス等を通して情報を収集することは有効であり、またクライエントの自宅を訪ねることにより具体的で詳細なクライエントの情報を得ることができる。第三に「モニタリング」である。援助が始まった後も、クライエント宅訪問によるモニタリング面接は、生活の実態やサービスを利用した後の生活の様子を理解しやすい方法である。近況を確認し、今後の支援継続にとっても重要である。(1457文字)
振り返って...
福祉分野が拡充していくなかで、アウトリーチによる利用者ニーズの掘り起こしを具体的に論述しましたが、アウトリーチの重要性についての記述を時代背景を軸にもう少し増やしてもよかったかなと思います。評点:90点(評価A)合格
keyword:アウトリーチ、インボランタリー・クライエント、etc...
#10 福祉行財政と福祉計画
『福祉計画』策定における住民参加のあり方についてまとめなさい。
(1500文字以内)
住民参加は、1960年代の住民運動との関連が色濃くあったが、1980年代の安定成長期に入ると次第に国民の福祉への関心が高まり、地方自治体への要求といった形から共に取り組んでいくという流れが起きてきたのである。また住民参加型在宅サービス団体の本格的活動の開始もこの時期である。住民参加の次元は、社会福祉サービスの側面からは、①サービス利用過程への参加②サービス提供過程への参加③意思決定過程への参加に分類可能である。①は主に利用者が福祉サービスを利用する過程に参加することであり、介護保険審査会への審査請求や地域住民によるオンブズパーソンとしての役割などがある。②は主に地域住民が福祉サービスの提供される過程に参加することであり、住民参加型在宅福祉サービスやピア・カウンセリングなどがある。③は利用者や地域住民などが地方自治体の福祉政策の立案や福祉計画の策定過程へ参加することであり、社会福祉審議会の委員や計画策定委員会の公募委員などがある。
地域福祉計画における住民参加は、大別すると①計画策定委員会などへの委員としての参加と、②それ以外の方法に分けることができる。①は、利用者や地域住民が市町村の計画策定委員会等に、公募委員として参加し、現行の福祉施策や福祉活動の現状や問題点などについて意見を述べ、具体的解決方法を考えたり福祉の理念や価値についての自らの考え方を示したりするものである。②は、ワークショップ、住民懇談会、住民集会、パブリックコメント、アンケート調査、の5つの方法が挙げられる。ワークショップとは、その場の目的に向かって進行役が参加者と対話しながら、参加者がお互いに対等な立場で、一緒に行う共同作業のことである。住民懇談会とは、町内会や小学校区、公民館など地域ごとに座談会を開き、地域の課題について意見交換することである。ここでは行政に対する要求的なものではなく、提案的にものにしていく必要がある。住民集会とは、地域住民が集まって行う集会のことであり、フォーラム、シンポジウム、パネルディスカッションなどのスタイルがある。パブリックコメントとは、計画の策定中の段階で、利害関係者に素案を提示し、それに対する意見を集約していくものである。アンケート調査とは、利用者や地域住民に対して様々なアンケートを行うことであるが、地域福祉の推進検討会議や住民懇談会に参加していない住民の意見を把握したり、高齢者や障害者の生活課題を具体的に把握するためなどの目的でも行われる。そしてアンケートの対象者が計画に参加していると考えることができる。また対象者が限定された場合には、モニタリングとなる。
上述した住民参加を行う際に、留意する必要がある点としては、まず計画策定委員の選出についてである。これは地縁型組織や既存の福祉組織だけではなく、機縁型組織やNPOなど幅広い構成員により成り立たせることが肝要である。また、住民懇談会の開催もできるだけ多く行うことが望ましい。さらにホームページやメールといった情報伝達手段を用いることは現代社会においては極めて有効であろう。さらに、計画策定の過程において行政職員の参加が重要であり、テクノクラート型はもちろんのこと現場に精通しているストリートレベル型の職員の参加が不可欠である。よって民間サービスと公共的サービスを組み合わせて生活課題を解決する仕組みを実現するためには、地域住民自身が生活課題を掘り起こし、自分たちで解決策を考えていくことが極めて重要なのである。(1450文字)
振り返って...
行政の策定する「福祉計画」が地域住民の参加する地域福祉計画への連携をメインに纏めて論述しました。全体的な視点からの論述もあってよかったかもと思いました。評点:80点(評価A)合格
keyword:社会福祉協議会、地域福祉計画、パブリックコメントetc...
#11 社会保障1
社会保障制度の発達の歴史について説明しなさい。
(1500文字以内)
社会保障の歴史において本格的な公的扶助制度を最初に実施したのはイギリスである。1601年のエリザベス救貧法は、社会秩序の維持と慈善の精神により貧困者の救済を目的としていたが、救貧とは程遠く治安維持的なものであった。その後、産業革命による人口の増加や都市化による社会的諸問題を解決すべく1834年に新救貧法が制定されたが、救援抑制的であった。その後ブースやラウントリーの社会調査により、数多くの貧困者が存在することが明らかにされ、これを契機に貧困克服のための社会保障の理念形成へと繋がっていった。ドイツでは、イギリスとは異なり労働者を対象とした社会保険制度を創設した。ビスマルク首相により、1883年に制定された世界最初の社会保険立法である疾病保険法などがそれである。これは産業革命後の工場労働者の増加が背景にあり、労働者の福利厚生および労働災害等による貧困の防止を目的としたものであった。また、イギリスでも1911年に最初の社会保険立法の国民保険法が成立した。
第一次世界大戦後、1929年に世界大恐慌が起こりアメリカでは膨大な失業者の発生に伴い、ルーズベルト大統領により1933年にニューディール政策が実施された。翌1934年に設置された経済保障委員会が雇用拡大と公的扶助、失業、年金の重要性を提言し、1935年に世界初の社会保障法が制定された。また1938年にはニュージーランドで、普遍的な所得保障と医療保健サービスを無償提供するという包括的な社会保障法が成立し、これを積極的に評価したのがILOであり、「社会保障への途」を刊行し、また大西洋憲章を支持する採択をし、社会保障の方向性を示した。第二次世界大戦は、1942年にイギリスでベヴァリッジ報告が出されたが、これは重要である。ビスマルク型の労働者を対象としたものではなく、国民全体を対象にし、困窮克服のために必要最小限の所得保障を行う国民保険の創設を柱とする社会保障計画を提示したからである。そして戦争国家から雇用の安定と社会保障の充実を目指す福祉国家へという方向性は、1952年のILOの「社会保障の最低基準に関する条約」により世界的普及を推進することになった。
日本では、明治以降、近代的産業国家の確立のために軍隊の整備と産業の振興を行ったが、様々な経済社会の変化を引き起こした。そこでドイツ帝国の制度を参考に、1874年に公的扶助として恤救規則が制定されたが、全国的救貧としては極めて不充分であった。その後1922年に健康保険法が制定され、また農業従事者の社会保障向上のために、1938年に旧国民健康保険法が制定された。その後1938年に船員保険法が成立したが、これは疾病、労働災害および年金を取り扱うわが国では画期的な包括的社会保険制度であった。これを契機に1944年に厚生年金保険法が制定され、第二次大戦後の1946年には失業者や戦災者を対象とした旧生活保護法が施行され、保護の対象が全国民に広げられた。その後1950年に現行の生活保護法ができ、福祉三法体制として社会保障制度の確立に向かったのである。この時期に重要な役割を担ったのが、1948年のワンデル勧告であり、その中身は社会保険中心の社会保障と社会保障制度審議会の設置であり、福祉国家を目指すという方向性が示されたものである。また社会保障制度審議会のいわゆる1950年勧告により、社会保険、公的扶助、公衆衛生、社会福祉を柱とした社会保障制度が規定され今日の社会保障制度の外観が形作られた。(1460文字)
振り返って...
海外及び国内の社会保障の歴史について論述しましたが、日本の戦後に出来上がった皆保険制度についての記述が足りなかったように思います。制度の背景・理念等にも触れる必要があったと感じます。評点:75点(評価B)合格
keyword:救貧法、国民皆保険制度、etc...
#12 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
児童相談所の機能と役割についてまとめなさい。
(1500文字以内)
児童相談所は、児童福祉法に基づく行政機関であり、各都道府県および指定都市に設置が義務づけられており、中核市等政令で定める市にも設置可能である。また2011年7月現在、全国に206カ所設置されている。児童相談所は、子どもに関する諸問題につき、家庭その他からの相談のうち、より専門的なものに応じ、児童の真のニーズに応じた援助活動を通じて子どもの福祉と権利擁護を図ることを目的としている。また、児童相談所には、調査や指導などを行うソーシャルワーカーである児童福祉司、心理面接や心理検査、心理療法などを行う児童心理司、医師などが配置されており、また児童相談所に設置されている一時保護所には児童指導員や保育士が配置されている。児童相談所の運営は、厚生労働省の児童相談所運営指針に基づいており、その基本的機能は以下の4つが挙げられている。①市町村援助機能(市町村による児童家庭相談への対応について、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行う機能)②相談機能(子どもに関する家庭その他からの相談のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものについて、必要に応じて子どもの家庭、地域状況、生活歴や発達、性格、行動等について専門的な角度から総合的に調査、診断、判定(総合診断)し、それに基づいて援助指針を定め、自ら又は関係機関等を活用し一貫した子どもの援助を行う機能)③一時保護機能(必要に応じて子どもを家庭から離して一時保護する機能)④措置機能(子ども又はその保護者を児童福祉司、児童委員(主任児童委員を含む。以下同じ。)、児童家庭支援センター等に指導させ、又は子どもを児童福祉施設、指定医療機関に入所させ、又は里親に委託する等の機能)である。
また民法上の権限として、親権者の親権喪失宣告の請求、未成年後見人選任及び解任の請求を家庭裁判所に対して行うことができる。また、必要な調査ならびに医学的、心理学的、教育学的、社会学的、精神保健上の判定を行い、そうした調査・判定に基づき必要な指導を行うこととされている。その他の業務としては、要保護児童の通告を受けること、家庭裁判所または福祉事務所からの児童の送致を受けること、児童委員または福祉事務所に必要な調査を委嘱すること、児童福祉司もしくは児童委員に児童・保護者を指導させることや、児童家庭支援センターに指導を委託すること、措置権者へ報告または通知すること、などがある。
児童相談所の相談内容としては、以下の5つに分類される。①擁護相談②障害相談③非行相談④育成相談⑤その他の相談である。相談受付件数は年々増加しており、2008年度は36万4414件に上った。近年とくに注目されているのは養護相談のなかに児童虐待に関する相談が増えてきていることであり、その深刻な問題の予防・解決のために児童相談所の権限の拡張が論じられる一方、逆に児童相談所の消極的対応が問題にされるケースもある。また、虐待通告は、48時間以内に目視による安全確認をするよう時間制限を伴った指針などにより、時間的ゆとりが失われ、人的資源も不足している事態が課題視されている側面もある。また児童相談所は、他機関との連携、とりわけ市町村における要保護児童対策地域協議会の設置や運営の支援など、市町村とともに関係機関のネットワーク化を推進することが重要であり、今後は、そうした地域の関係諸機関などとの連携をいっそう強化しながら、新しい地域福祉の時代にふさわしい児童相談所のあり方が求められてきているのである。(1462文字)
振り返って...
課題に対して完結に纏めるとともに、ネットワーク化など児童虐待帽子に関する記述も加えて論述しました。割と良く書けたと想っています。評点:95点(評価A)合格
keyword:児童福祉法、児童虐待etc...
#13 地域福祉の理論と方法1
在住・在勤の市区町村の地域福祉計画か地域福祉活動計画を事例に挙げ、その概要及び策定方法・実施方法の特徴について述べなさい。
(1500文字以内)
2000年の社会福祉事業法改正による社会福祉法法の制定により、「地域福祉の推進」という新しい目的が同法に書き込まれ、地域福祉計画の施行が規定された。策定過程に住民参加を行うことが法的な要件になっている。ここでは、私の在住している△△市の地域福祉計画の概要について示すことにする。△△市地域福祉計画の計画期間は6年であり、現在は2009年~2014年度の計画が実施中である。「あなたが主役、あたらしい△△の地域福祉」を副題に、高齢者や障害のある人をはじめすべての市民が、家庭や地域の中で社会参加ができ一生安心して暮らせるまちづくりを進めるため、地域住民、福祉関係団体と行政が相互に連携しあいながら、地域福祉の推進、具体化を図っていくものとしている。概要としては「第1章 計画の目的と位置づけ」「第2章 地域福祉の必要性」「第3章 本市の現状と課題」「第4章 本市の方向性と取り組み」「第5章 計画の進行管理と推進委員会の役割」から構成されている。
第1章及び第2章では、安心で充実した地域社会の実現を目指し、様々な支援を必要としている人の問題を解決することの必要性を述べている。第3章では、△△市の特性について触れ、現存する課題について述べている。その課題をベースに第4章の「地域福祉の推進に向けた本市の具体的取り組み」では、以下の7つのテーマを挙げている。①地域福祉の普及・啓発(計画概要版作成など)②ボランティア活動への支援(ボランティアコーディネーター育成支援など)③相談・支援ネットワークの拡大④成年後見制度と日常生活自立支援事業の充実(誰もが安心して利用できる相談窓口の具体化など)⑤災害時要援護者支援の体制整備藤沢災害救援ボランティアネットワーク⑥障害者団体等の活動支援や情報発信を行う拠点整備⑦福祉人材の育成・確保に向けた取り組み(サービス提供事業者と協力し、若い人の理解を深めるための職場体験等の実習の具体化など)である。第5章では、地域福祉を推進し地域力を高めるためには、計画に定められた方向性や具体的取り組みを着実に実践していくことが求められることから、「△△市地域福祉計画推進委員会」での計画の方向性や進捗状況の定期的な点検などの進行管理を行っていることを述べている。地域福祉計画推進委員会の委員は21 人で構成されている。
住民参加の側面においては、「アンケート調査の実施」では、日頃のコミュニケーションや協力体制、地域活動への参加状況や、地域と行政の関係などについても設問実施。住民基本台帳より無作為抽出にて対象者を決定し、郵送にて回収。「パブリックコメントの実施」では、計画案を広報やホームページで周知し、任意の用紙にて回答を収集した。策定方法としては、①地域の特性の把握と課題・方向性の明確化②アンケート調査③福祉サービス目標の設定と目標を実現するための施策の検討④進行管理・評価の方法の検討⑤地域福祉計画(案)の策定⑥パブリックコメントの実施⑦地域福祉計画の決定⑧広報誌・ホームページ等による広報という流れである。最後にボランティア活動の重要性であるが、地域福祉を進めていくためには、より多くの人が地域福祉の意義や必要性について理解を深めると同時に地域活動に参加することが求めら、すでに支えあいや助けあいの精神に基づき、多くのボランティアや団体が活動している。(本市では「市民活動推進センター」を、また、△△市社会福祉協議会では「ボランティアセンター」を開設している)。今後、さらに活動の輪を広げていくことが重要である。(1467文字)
振り返って...
市の計画について列挙しすぎな論述になってしまいましたが、住民参加の度合いや住民の福祉ニーズの反映度についての記述を軸に書いた方が良かったと振り返って想いました。評点:75点(評価B)合格
keyword:地域福祉計画、住民参加etc...
#14 高齢者に対する支援と介護保険制度
少子高齢化の社会的影響、高齢者の平均寿命の変化や人口に占める高齢者の比率が、介護問題にどのような影響を持っているかを考察しなさい。
(1500文字以内)
わが国の高齢化の状況を老年人口比率を軸にみてみると、1970年に7%を超えて高齢化社会となり、1994年には14%を超えて高齢社会となり、2005年には20%を超えて、現在では既に超高齢社会となっている。その後も増加傾向が続き、20500年には39.6%という高率になることが推計されている。そして特徴的なことは、老年人口のなかでも75歳以上の後期高齢者の人口の増加が著しく、この後期老年期では、寝たきりや認知症の発生が高まることが指摘されている。次に少子化の状況であるが、14歳以下の年少人口比率を軸にみてみると、1970年に24.0%、1995年には15.9%、2005年には13.7%と減少傾向であり、2050年には8.6%まで低下すると推計されている。こうした急激な少子高齢化の要因しては、①出生率の低下による少子化②平均寿命の伸長が挙げられる。①については、合計特殊出生率でみると、1949年には4.32であったが、平成に入ってからは人口置換水準の2.08を下回るようになった。これは女性の晩婚化と出産年齢の高齢化および未婚化が要因として考えられる。②については、平均寿命は1947年には50歳を超え、1951年には60歳を超えた。そして2008年には男性が79.29歳、女性が86.05歳となり、世界有数の長寿国となった。これは、医学・医療技術の発達や各種医療制度の施策により、乳幼児や若年者の死亡率が低下したことや、中高年の死亡率が改善されたことなどによるものである。
こうした少子高齢社会になった現在、介護問題は国民の重要課題になっている。介護保険制度において要介護(要支援)認定者は2008年3月末で453万人であり、うち第1号被保険者のなかの後期高齢者は373万人と85%を占めている。また厚生労働省の報告書「2015年の高齢者介護」によれば、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の人は、2015年には250万人、2025年には323万人と予測されている。少子高齢化における大きな介護問題の一つに、介護従事者の不足が挙げられる。家族形態の変化から老老家族が増加していることに加えて、労働力人口が減少する中で、現在の介護職員数では絶対的な不足が見込まれ、外国人や家族介護者の拡充、ボランティアなども含めて介護従事者の確保を考えていかねばならない。
また実際のサービス受給者数の推移をみると圧倒的に居宅サービスの伸びが大きいが、介護サービス事業所・施設数でも訪問介護事業所、通所介護事業所も伸び、認知症グループホーム、有料老人ホーム等が著しく増加している。そうした施設の一層の拡充も必要不可欠であるが、こうした施設は日常生活や医療・福祉の利便性の高い地域が好まれる傾向にあり、用地取得が困難な場合が少なくない。こうした急激な高齢者人口の増加に対して、そのニーズを満たすのに充分な人材や設備を確保し続けることが求められている。また、高齢期にあるすべての人に対して、生活機能の維持と向上を目指し、廃用症候群等による機能低下や要支援・要介護状態になることを防ぐ「介護予防」事業の活用が重要である。2006年の介護保険制度改正により、予防重視型システムへの転換があげられ、「新予防給付」と「地域支援事業」により効果的な介護予防サービスを提供することを目的としているのだが、まだ一般に浸透しているとは言い難く、介護予防への関心の惹起が必要であろう。(1423文字)
振り返って...
時系列的に課題項目を論述しましたが、加えて人材の確保、生産年齢の減少、外国人労働者の問題等々に関する記述もボリュームを持たせればとも思います。評点:80点(評価A)合格
keyword:超高齢化社会、介護保険制度etc...
次は、Part3です。