社会福祉士の養成専門学校のレポート課題
part5
#29 高齢者に対する支援と介護保険制度2
地域包括支援センターでの社会福祉士の役割について述べなさい。
(1500文字以内)
地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムを具体化すべく介護保険法を改正し、導入された機関である。その業務は、地域支援事業における4つの包括的支援事業であり、3つの専門職によって行われている。①予防給付ケアマネジメント事業、介護予防のケアマネジメント事業②総合相談支援事業③権利擁護事業④包括的・継続的ケアマネジメント支援事業であり、実務上①は保健師、②③は社会福祉士、④は主任介護支援専門員が主に担当しているが、3職種が一つのチームとして協同して対応することが求められている。
総合相談の意義は、生活者の課題に対しては、地域の医療・保健・福祉の関係機関や地域資源のネットワークにより制度を超えた総合的な対応を行うことにある。そして①初期相談②専門相談③予防的相談があり、①は、初期段階においては無条件に受け止めるという姿勢で状況把握や情報収集に努める。②は、課題解決に向けて、センターとしての支援を継続しながらも、よりふさわしい他のサービス提供機関や専門的な相談機関につなぐことも考慮する。③は、今後生じうる問題に対してネットワークを生かして予防するという事前的権利擁護の支援である。こうした総合相談のプロセスは、相談受付→アセスメント→支援計画の作成→支援計画の実行→モリタリング→終結と結果評価という流れで進められる。権利擁護の意義は、「本人らしい生活」の保障と利用者の「主体的変化」に向けた支援を行うことにある。そのために、今ある制度等の活用はもとより、制度改正や新たな資源の開発に向けた取り組みも地域包括支援センターの社会福祉士の重要な役割である。
そして、権利擁護のための方法としては、①成年後見制度の活用②地域福祉権利擁護事業の活用③老人福祉施設等への措置の活用④虐待への対応⑤その他困難事例への対応⑥消費者被害防止のための連携がある。①は、判断能力の低下した利用者に、適切なサービス利用の支援に有効である。②は、利用者と社会福祉協議会との契約によるり様々なサービスの享受が期待できる。③は、介護保険法でのサービス利用が困難な場合に必要となる。④は、虐待事例を発見した場合に、関連する機関や制度を活用し対応する。⑤は、地域包括支援センターにおける権利擁護の重要な柱の一つであり、利用者との信頼関係を構築し、他専門職との連携して誠実に対応する。⑥は、地域の生活消費センターと連携し、市町村や弁護士等との連携を図り対応する。加えて業務の担い手としての社会福祉士の視点としては、①専門職としての視点から業務を考える②当事者の最善の利益を図る③権利侵害を防止する④他の専門職や機関・関係者等と連携し協働する⑤地域や家族の特性をふまえ多面的・包括的にかかわる⑥専門性の向上を図るといったことが求められる。さらに、スーパーピアビジョン体制の確立やセンター内に社会福祉士がいることの広報周知なども大切な役割といえよう。(1208文字)
振り返って...
社会福祉士としての役割についてざっくりした論述をしましたが、地域包括支援センターに配置されている3職種(社会福祉士、保健師、主任ケアマネージャー)についてももう少し多く触れるべきだったかなと思います。評点:85点(評価A)合格
keyword:3職種、総合相談、連携・協働etc...
#30 更生保護制度
更生保護制度の現状を踏まえ、問題点と改革の方向性について述べなさい。
(1500文字以内)
現在の更生保護制度の問題点を改革していく出発点として、2006年の有識者会議報告を基に整理することにする。そこでは、3つの問題点があるとして以下の提言を行っている。①国民・地域社会の理解の拡大②実効性の高い官民協働③保護観察の充実強化である。①更生保護に関する広報や行政の不透明性への配慮が不十分であることを指摘し、国民や地域住民への理解の拡大が必要としている。更生保護は、従来から広報活動に力を入れてきたが、国民の理解を得て、保護観察対象者の再犯リスクを許容してもらうには至っていない。こうしたなかでは、効果的処遇方法が国民へ明示され、理解されなければならない。そのために再犯防止実績の向上と活動実態の説明が必要である。犯罪予防活動には、「社会を明るくする運動」のような犯罪一般を防ごうとするものと、見守り活動等の防犯活動があり、両者の相互作用によって犯罪予防効果が発揮されると考えられる。また保護司の役割は大きいが、公益に対する関心の希薄化等によりその確保の困難さは増しており、関係機関による幅広い層からの保護司候補者の発掘が試行されている。
②保護観察所の対応の不充分さを指摘し、官民の役割分担の明確化と保護観察所の本来の役割を果たすことが必要としている。更生保護官署の質的・物的体制の整備により民間依存を改善する必要がある。近年ではその職員はある程度増加できていることから、、一般的で援助的な内容の処遇だけではなく、積極的なプログラム処遇の実施、遵守事項違反に対する厳格な不良措置の実施という保護観察官の専属事項をきちんと行う必要があり、これにより官民の役割分担を明確にし、保護観察官でなければできない専門的処遇を開発、実施することが求められる。③保護観察対象者に対する再犯防止効果が不十分であることを指摘し、更生保護の目的が改善更生と再犯防止にあることを明確にしたうえで、実効性のある処遇プログラムの開発・実施、など更生保護の再犯防止機能を高めること。更生保護法施行時に用意されたプログラムは、①性犯罪者処遇プログラム②覚せい剤事犯者処遇プログラム③暴力防止プログラムであり、いずれも認知行動療法に基づいており、ある程度効果が実証されているが、今後は証拠に基づく施策を目指すことが求められる。また、保護観察官の認知行動療法に対する適切な理解と十分な実践技能も強く求められる。
また、福祉の援助が必要な保護観察対象者への対応は、まず公共の衛生福祉機関等が、それが不可能な場合は保護観察所が行うが、高齢、精神障害等のため更生保護施設で受入れられなず福祉支援も受けられないなどの問題はおこりうる。こうした問題の要因は、更生保護と福祉サイドの相互の理解不足や更生保護施設の目的が福祉的援助までもは担っていないことなどがある。この解決のために、試行的に知的障害者福祉施設等への知的障害者の出所者の受入れや、高齢または障害のある受刑者で自立生活が困難な場合に、地域生活定着支援センターとの連携により、出所後直ちに福祉サービスを利用できる支援の取り組みが行われている。今後は更生保護職員の福祉制度の理解の向上と更生保護における福祉的アプローチの重要性を認識することの向上が求められるであろう。更生保護においては、社会復帰機能に加えて、再犯防止機能の強化が、最大の課題である。そのためには、①改善更生措置の充実②改善更生措置の拡充③社会奉仕義務や改善更生以外の再犯防止制度の導入の検討などが考えられ、これらの実現を目指すことにより、社会内処遇制度としての更生保護の展望が開けることが期待されるのである。(1497文字)
振り返って...
更生保護制度の役割を軸にその方向性について論述しましたが、もう少し現状の実態に踏み込んだ記述であってもよかったと思います。評点:80点(評価A)合格
keyword:更生プログラムetc...
#31 相談援助実習指導2
相談援助実習の意義についてまとめなさい。
(1500文字以内)
相談援助実習を行うにあたっては、厚生労働省が示している3つの「ねらい」と8つの「事項」を基に、具体的内容を示した中項目と必要な獲得能力を示した小項目を設定した社団法人日本社会福祉士養成校協会の策定した「相談援助実習ガイドライン」が重要である。3つのねらいとは、①相談援助実習を通して、相談援助に係る知識と技術について具体的かつ実際的に理解し実践的な技術を体得する②社会福祉士として求められる資質、技能、倫理、自己に求められる課題把握、総合的に対応できる能力を習得する③関連分野の専門職との連携のあり方及びその具体的内容を実践的に理解する、である。次に、ここでは、8つの項目と中項目について整理することにする。第1は、利用者や関係者、施設・事業者、機関・団体等の職員、地域住民やボランティア等との基本的コミュニケーションや人との付き合い方などの円滑な人間関係の形成を目指し、対象(利用者、グループ、地域等)との関わり方を学ぶ。第2は、利用者理解とそのその需要の把握及び支援計画の作成を目標に、利用者の実態を統計的に学ぶ、対象へのアセスメント方法を学ぶ。個別支援計画等、様々な計画の策定方法を学ぶ(プランニングまでを主として)。
第3は、利用者やその関係者(家族・親族・友人等)との援助関係の形成の観点から、利用者と家族の関係を学ぶことを目標とする。第4は、利用者やその関係者(家族・親族・友人等)への権利擁護及び支援(エンパワメント含む)とその評価の観点から、対象に関する支援プロセス、本人・家族等の関係を学ぶことを目標する。第5は、多職種連携をはじめとする支援におけるチームアプローチの実際の観点から、職場における他職種、他職員の役割と業務、職場におけるチームアプローチのあり方、各職種内・間の会議の運営方法、関連機関・施設の業務や連携状況を学ぶことを目標とする。第6は、社会福祉士としての職業倫理、施設・事業者・機関・団体等の職員の就業に関する規定への理解と組織の一員としての役割と責任への理解の観点から、利用者の人権尊重の具体的方法、社会福祉専門職の価値・倫理、指導職員から社会福祉士の業務内容、業務に必要な文書様式の記入内容・方法等を学ぶことを目標とする。
第7は、施設等の経営やサービスの管理運営の実際の観点から、実習先機関・施設の法的根拠・法律、意思決定過程、財政、運営方法等の組織構造について学ぶことを目標とする。第8は、当該実習先が地域社会の中の施設・団体等であることへの理解と具体的な地域社会への働きかけとしてのアウトリーチ、ネットワーキング、社会資源の活用等に関する理解の観点から、実習先機関・施設のある地域の、歴史や人口構造等の一般的状況、社会福祉の全体的状況、インフォーマルな社会資源、実習期間中の行事、地域の組織化の方法等を学ぶことを目標とする。小項目では、利用者と関わることができる、担当する利用者のニーズを説明できる、インテークができる、など中項目に沿って設定されており、それぞれ場面は違えども、理解能力、コミュニケーション力、説明能力、実行能力を身につけることを目指すものであり、これらを達成することによって、相談援助実習は意義深いものになるのである。(1345文字)
振り返って...
実習の意義についてガイドラインをベースに論述しましたが、私自身の実習生としての心構えも記述してもよかったかなと感じます。評点:80点(評価A)合格
keyword:相談援助実習ガイドラインetc...
#32 相談援助の理論と方法4
課題解決への方法として『実践アプローチ』をとらえ、実践アプローチについて適応対象と適応課題、支援の視点、支援展開についてまとめなさい。
(1500文字以内)
問題解決への方法としての「実践アプローチ」を以下に整理してみる。①心理社会的アプローチは、自我理論、精神分析理論を基盤とし、対象はすべての人で特に医療的課題などの解決に適応する。また、人と状況相互の機能不全を改善し、課題を解決することに焦点をおく。また、支援関係の形成、アセスメントに基づいた支援計画の策定などを展開する。
②機能的アプローチは、自我心理学、意思心理学を基盤とし、対象は特に設定されておらず、ほとんどの状況に対応する。また、社会的機能を高めるための力の解放に焦点をおき、スモーリーの5原則等を展開する。③問題解決アプローチは、実践的理論を基盤とし、対象は援助を活用するよう動機づけされた個人で、課題の設定は特にない。また、クライエントの課題遂行に対し出来る限り効果的に対処できるよう援助することに焦点をおき、接触段階、契約段階、活動段階による過程を展開する。④課題中心アプローチは、精神分析論、役割理論、学習理論、コミュニケーション理論を折衷的に基盤とし、対象はクライエント自身で解決できうる具体的な生活諸課題で、幅広い領域に適用する。また、社会的機能を改善することに焦点をおき、3段階・4ステップ(問題の明確化➝契約➝課題遂行➝終結)を展開する。⑤危機介入アプローチは、精神分析論、自我心理学、学習理論を基盤とし、対象は危機的状況の課題をもつもので発達的・状況的危機が社会的機能を制限している状況に適応する。また、クライエントの対処能力を強化し、社会的機能を回復することに焦点をおき、アウトリーチにより懸念材料を表出させ検討し、対処能力を高める展開をする。⑥「行動変容アプローチ」は、学習理論を基盤にし、対象は個人、家族、マイノリティなど多様で不安や抑うつ等様々な課題に適応する。また、社会的機能の向上に焦点をおき、基本的にはソーシャルワークの展開過程と同様に展開する。
⑦エンパワメントアプローチは、セルフヘルプ運動等の社会運動の影響やコンピテンス概念などを基盤とし、社会的弱者としてパワーレスな人々を対象に、課題全般に適用可する。また、クライエント自らの課題把握とその構造要因の変革に焦点をおき、社会生活技能訓練などを展開する。⑧ナラティブアプローチは、社会構成主義を基盤とし、主に家族ソーシャルワークの領域で、課題の設定は特にない。また、クライエントの人生の再構築を焦点におき、傾聴、問題の内在化、反省的質問により、ユニークな結果を見出しオルタナティブ・ストーリーを構築する展開を行う。⑨実存主義アプローチは、実存主義を基盤とし、対象は疎外に悩むクライエントで、疎外からの解放に焦点をおく。また、「他者」に関心を向ける➝自我に囚われた状態から抜け出す➝疎外から解放されるという3局面での展開を行う。⑩フェミニストアプローチは、フェミニズム思想を基盤とし、対象はすべての女性で、あらゆる状況に適応可する。また、個人のエンパワメント、社会的抑圧の根絶を意図した社会変革に焦点をおき、公正の声として表明し戦略を提示していく展開を行う。⑪解決志向アプローチは、プラグマティズムと社会構成主義の影響を受けており、対象は個人、家族などで、不登校や神経症など幅広い課題に適応する。また、問題解決によるクライエントの社会的機能の向上に焦点をおき、無知の姿勢、ワン・ダウン・ポジションでの面接といった展開を行う。(1408文字)
振り返って...
実践アプローチの類型を論述しましたが、羅列しすぎた感がありもう少し全体的な纏め方をしてもよかったかも。評点:70点(評価B)合格
keyword:実践アプローチetc...
#33 地域福祉の理論と方法2
住民全体の地域活動を組織化していくコミュニティソーシャルワークの視点から、地域住民と専門家の関かかわり方について述べなさい。
(1500文字以内)
コミュニティソーシャルワークとは、住民主体の地域活動を組織化していくことであるが、その方法として専門職と住民との関わりの観点から①ボランティアセンターにおけるアプローチ②当事者の組織化③小地域福祉活動(校区福祉委員会)の3つのアプローチに整理可能である。
①においては、コーディネーターとしての役割が求められる。ボランティアに参加したい人には、担い手としての期待・やりがいを持たせ自覚的に地域活動を行うことを組織化していく。具体的には、ボランティアスクールの実施や、ボランティア団体連絡会の組織化などの支援が重要である。一方ボランティアを求める人には、コーディネーターが様々な制度や社会資源を活用し、ボランティアとともに支えていく仕組みを考える。②は、同じ共通課題のある者同士の出会いを通じて、助け合いを進めていく方法である。課題ごとの交流会、例えば老人介護者家族の会などで、当事者を中心に専門職を組織化していき課題を社会化していくという役割がある。③の、校区福祉委員会は、小学校区に存在するさまざまな団体(自治会、婦人会防犯協議会など)を横につなぎ地域の福祉を推進していく街づくりを進めるための組織である。これは各々の目的に沿った団体の連合組織のため、校区福祉委員会独自の事業の継続的実施が難しくなりがちであるが、豊中市の例では、地域内でボランティア部会を組織し地域の個別課題に対応するようにした。ここでのワーカーの取り組みは次の5つの役割をもつ。
①校区福祉委員会のなかの団体間の調整(インターグループワーク)②対象者と地域住民のなかのコーディネーター役となる「地域住民のリーダー」の組織化とバックアップ(研修、組織化支援等)を行うとともに③対象者と近隣住民の関係調整を行う(ソーシャルインクルージョン)こと④地域課題を公と民で協働に支える仕組みづくり(ネットワーク)⑤住民とともに地域課題を行政につなぎ問題解決を図る(代弁、ソーシャルアクション)ことである。以上のように、地域福祉の専門職は、対象者本人の支援に加えて住民が主体的に地域活動にかかわり、問題解決していくことを支援していくことが重要であり、そこには支援者を増やしたり、ニーズを発見できる人や組織を広げようとするところに特徴があるといえる。
住民との関係について基本的なワーカーの視点をまとめれば、①住民自らが地域課題を発見していくことができる仕組みづくりを支援していくという視点②住民とともに事業をつくっていくという視点③声なき声や、マイノリティなど、社会的援護を必要とする様々な人や、制度の狭間にある人々を発見し支えることの意味を共有し、当事者自身の組織化などを通じてエンパワメントや代弁していくこと、さらには福祉課題を社会化していくという視点④住民主体で問題解決できる仕組みづくりをするという視点⑤点と点で支えあう住民同士の助け合いから同じ課題の共通性を考え、問題解決のルールや事業へ発展させるなど福祉のまちづくりという視点⑥ワーカー個人の資質とともに、支援していく地域福祉全体の仕組みにワーカーや地域の役割を明確に位置付けていくという視点⑦地域住民活動は常に万能ではなく、ときには限界があるという視点、ということである。(1344文字)
振り返って...
それぞれ箇条書きにて整理し論述しましたが、地域住民と専門家の関かかわり方についての記述が不十分に感じられます。もう少し増やしてもよかったかも。評点:70点(評価B)合格
keyword:コーディネーター、ソーシャルインクルージョンetc...