TOP > 体験記 > 物流コスト管理 > #7-9 締め日、売上、月次決算

必見!  物流業界関連の知識もろもろpart3

作成日:2021.02.01
All written by ©masalifeclub

「締め日」とは何か

コスト担当者として、常に意識していたのが締め日(しめび)です。「漫画家さんは締め切り日があって、大変ですね」といった「締め切り日」とは少し違います。常に会話で飛び交う言葉でした。「締め日」は、締め切り日とは異なりイコール提出日とは限りません。

例えば、給料日が25日締めといった場合は、前月の26日から当月の25日までの賃金を意味しますが、これと同様で「ある期間」を意味しています。そして締め日は一つではなく、いくつかある場合が多いと思います。少し考えてみます。

(1)自分の物流会社の締め日

企業によって、締め日は様々です。

毎月月末締め、毎月25日締め、毎月20日締め、毎月月末から第〇営業日前締め、など色々あると思いますが、基本的にはこうした締め日は経理部門が管理している場合が多いのではないでしょうか。これが、会社としての正式な締め日であると認識していたと思います。

以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】


区分 「当月分」の期間
15日締め 前月の16日~当月の15日
25日締め 前月の26日~当月の25日
末日締め 当月の1日~当月の末日

一か月間という期間は変わりませんが、〇日から〇日まで、が変わってきます。いつも頭に入れていました。

memo

この「締め日」には相当悩み、引継ぎ当初は、夢にまで出てきました。会社内では、「出荷システム」「購買システム」「経理システム」「配車システム」など、多種多様なシステムが運用されていたりします。これが、すべて同じ「締め日」ならば苦労はないのですが、そうでない場合は極めて厄介です。

ただ続けていれば自ずと頭が柔軟になってきますが、それまでは時間がかかったのを思い出します。


(2)請求先(荷主=顧客)の締め日

顧客も会社ですから、当然その会社の締め日があります。

そして、顧客が複数ある場合には顧客ごとに締め日が異なるケースもあるでしょう。ですから、それに基づいて請求書を発行しなければなりませんでした。請求先の締め日が末日締めなのに、自分の会社が25日締めだから25日で締めた金額で請求するということは、基本的には難しいのではと感じています。
(了承を頂ければ問題ありませんが)

memo

また一般的に、請求書の提出日は決められていますので、その期日は厳守です。引継ぎ当初は理解しきれていないために、処理に膨大な時間がかかっていました。それゆえ、提出日の当日ギリギリに持って行ったことも多々ありました。その度に、 先方から「何とか改善して」と言われて、身の縮む思いで帰社した苦い記憶があります。


(3)支払先(取引業者)の締め日

取引業者も会社ですから、当然その会社の締め日があります。

そして支払額確定方法については、主に次の2つの方法が考えられると思います。1つは、単純に取引業者から請求書をもらう方法です。もう一つは、こちらで支払額を確定させる方法です。どちらも、メリットとデメリットがあると思います。

「請求書」をもらう方は、こちらで金額を作りこむ手間は省けますが、もらった請求書の内容・金額が間違っていないかのチェックが必要です(これを、検収(けんしゅう)と呼んだりします)。いろいろな締め日が迫っている中で、かなりの負担です。一方「こちらで支払額を作りこむ」ことは、それまでが手間ですが、完成後は、この明細を取引業者に渡し「請求書の鑑」を作ってもらえればいいので、時間のない中では、かなりのメリットです。ただ、取引業者の請求担当の方のチェック時間がタイトになる、という相反した関係性でもあります。

こちらで作った支払明細を、買掛金通知書(かいかけきんつうちしょ)と呼んだりします。また、請求書の鑑(かがみ)とは、当月の総支払額が記載された表紙であり、通常は取引会社の赤い「社印」が押されています。

memo

あと、請求の時と同じように、取引業者(支払先)の締め日が末日締めで、自分の会社が25日締めの場合、取引業者と交渉して25日で締めた金額で支払額を確定してもらうように交渉してみることも、充分に価値があると考えています。


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2004年のシングル曲。ドラマ主題曲で、アルバム「CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection」収録。ボーカルの軽々出るハイトーンはとても気持ちいいです。この楽曲、アレンジワークが格好いい。最後まで安定した歌唱は流石の一言。サビからの展開がドラマの名場面を想起させます。一話の中のハイライトシーンで、ドカンと流れ始めると心の高揚を抑えることができない。言葉のひとつひとつが好き。

請求=売上ではない?

コスト担当になる前までは、請求=売上だと思っていました。しかし、絶対にそうだとは言えないことが徐々に分かってきました。顧客への請求額=売上になるとは限りませんし、取引業者への支払額=原価になるとも限りません。一見すると似た感じがしますが、厳密には違うと考えています(もちろん同じの場合もあると思います)。

ざっくり言えば、請求額とは顧客の締め日に合わせた期間の金額で、それに対して、売上とは自社の締め日に合わせた期間の金額になります。また、支払額とは取引業者の締め日に合わせた期間の金額で、それに対して、原価とは自社の締め日に合わせた期間の金額になります。自社と顧客、取引業者の締め日がすべて同じであれば、請求と売上、支払と原価は同じ金額になりますが、そうでない場合も当然あり得ます

主な締め日が3つと仮定して、社内締め日を基準に請求先と支払先の締め日の違いを考えてみます。経験した中では、主に「原価見積」「売上見積」「原価保留」「売上保留」などです。
(システム等の締め日は除いて考えてみます)

以下のようなイメージになるかもしれません。

社内の締め日 請求先締め日 支払先締め日 違い 処理内容
例1 25日 25日 25日 全ての締め日が
同一
例2 25日 25日 20日 支払先の締め日が異なる
(他より早い)
原価見積
例3 25日 25日 末日 支払先の締め日が異なる
(他より遅い)
原価保留
例4 25日 20日 25日 請求先の締め日が異なる
(他より早い)
売上見積
例5 25日 末日 25日 請求先の締め日が異なる
(他より遅い)
売上保留

例1が最もシンプルであり、請求、支払、売上、原価の対象期間がすべて同一の場合です。また、例2~例5では、通常の処理のほかに処理内容欄に記載している作業が増えることとなり、なるべく避けたいと私は思っていました。

その処理内容である、

  • 原価見積(げんかみつもり)
  • 原価保留(げんかほりゅう)
  • 売上見積(うりあげみつもり)
  • 売上保留(うりあげほりゅう)

の仕組みを見ていきます。

memo

引継ぎ当初、初めてのワード連発で、頭の中は「?????」でした。仕組みもよく理解できておらず作業手順だけを教えてもらい、機械的に処理をしていました。とても苦しかった時期ですが、いい勉強になっていると今では思っています。この考えを理解しないと前に進めなかったと思います。


(1)原価見積

原価見積とは、支払先締め日から社内締め日までの費用を見積もり、原価に算入することです。

前述の例2(下記表)に該当し、20日から25日までの支払分を見積って原価に加えます。ただし、見積るといっても、可能な限り業者から20~25日の実際の支払額の通知を受けることに努めたいと考えていました。どうしても受け取れない状況であれば、こちらで過去の実績等のデータ分析により見積ったりしていました。

社内の締め日 請求先締め日 支払先締め日 違い 処理内容
例2 25日 25日 20日 支払先の締め日が異なる
(他より早い)
原価見積

20~25日の支払いは翌月分扱いになります。また、翌月になったらその見積額のマイナス額を原価に加える処理をします。
(原価見積の解除)

下記の場合、7/21~25の支払額70,000円の請求書又は明細書を業者から受け取るか、こちらで見積額を算出します。この分は業者への支払は翌月計上、自社の原価は当月計上となります。
以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

金額(円)
6/21~25見積額の▲ a ▲50,000
6/21~25支払額 b 60,000
6/26~7/20支払額 c 360,000
7/21~25見積額 d 70,000
7月の原価(a+b+c+d) 440,000
7月の支払額(b+c) 420,000


金額(円)
7/21~25見積額の▲ a ▲70,000
7/21~25支払額 b 50,000
7/26~8/20支払額 c 340,000
8/21~25見積額 d 80,000
8月の原価(a+b+c+d) 400,000
8月の支払額(b+c) 390,000

保留と違って、見積もりは手間がかかります。

memo

保留は、実際の金額を単純に翌月回しという感じですが、請求書等をもらわないで算出する見積もりは、金額の作り込みが必要だからです。そして実績が出てきたときに、あまりに見積もりとの乖離が大きい場合はちょっと問題かもと思います。
(例えば、見積りが30万円、実際が300万円とかだとマズイ感じ)

突発的な費用の発生であれば、"理由"が明確ですから問題ないと思いますが、そういうことが無いにも関わらず、大きな差が出るというのは、見積もりの方法が適切でない可能性が高いことが推測され、見直しの必要があるではないでしょうか。


(2)原価保留

原価保留とは、社内締め日から支払先締め日までの費用を保留し、原価には算入しないことです。

前述の例3(下記表)に該当し、25日から末日までの支払分を原価に加えず保留します。実際の支払いは当月分扱いになります。また、翌月になったらその保留額を解除し原価に加える処理をします。
(原価保留の解除)

社内の締め日 請求先締め日 支払先締め日 違い 処理内容
例3 25日 25日 末日 支払先の締め日が異なる
(他より遅い)
原価保留

下記の場合、業者から受け取った7/26~31の請求書の支払額70,000円は、業者への支払は当月計上、自社の原価は翌月計上となります。
以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

金額(円)
6/26~30保留額の解除 a 60,000
7/21~25支払額 b 360,000
7/26~31支払額=保留額 c ▲70,000
7月の原価(a+b) 420,000
7月の支払額(b+c×-1) 430,000


金額(円)
7/26~31保留額の解除 a 70,000
8/21~25支払額 b 340,000
8/26~31支払額=保留額 c 80,000
8月の原価(a+b) 410,000
8月の支払額(b+c×-1) 420,000
memo

原価の保留は、既に実績として確定しているモノですから見積もりと違って考える余地は皆無となり、わりと楽です。支払計上月と原価計上月さえ間違わなければ大丈夫です。


(3)売上見積

売上見積とは、請求先締め日から社内締め日までの費用を見積もり、売上に算入することです。

前述の例4(下記表)に該当し、20日から25日までの請求分を見積って売上に加えます。ただ見積るといっても、可能な限り20~25日の実績に基づいた請求額の算出に努めたいと考えていました。どうしてもその分の実績計算が難しい状況であれば、過去の実績等のデータ分析により見積ったりしていました。

社内の締め日 請求先締め日 支払先締め日 違い 処理内容
例4 25日 20日 25日 請求先締め日が異なる
(他より早い)
売上見積

実際の請求は翌月分扱いになります。また、翌月になったらその見積額のマイナス額を原価に加える処理をします。
(売上見積の解除)

下記の場合、7/21~25の見積額70,000円を作成します。この分は顧客への請求は翌月計上、自社の売上は当月計上となります。
以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

金額(円)
6/21~25見積額の▲ a ▲50,000
6/21~25請求額 b 60,000
6/26~7/20請求額 c 360,000
7/21~25見積額 d 70,000
7月の売上(a+b+c+d) 440,000
7月の請求額(b+c) 420,000


金額(円)
7/21~25見積額の▲ a ▲70,000
7/21~25請求額 b 50,000
7/26~8/20請求額 c 340,000
8/21~25見積額 d 80,000
8月の売上(a+b+c+d) 400,000
8月の請求額(b+c) 390,000
memo

原価見積と同様に、算出する必要があります。意外と時間が掛かる作業です。売上見積を計算・算出し、それに"原価率"を掛けて原価を求めることも、ひとつの考え方としてはあるのかなと思います(ざっくりし過ぎていますが)。もしくは、ゼロベースからの積み上げ方式で算出していく方法もあります。こちらの方が計算する項目も多く骨が折れますが、メリットとしては後に項目ごとの金額の把握が容易になることだと考えています。どちらにしても、金額を算出する場合には、きちんと根拠を作り込む必要があるということ。


(4)売上保留

売上保留とは、社内締め日から請求先締め日までの費用を保留し、売上から除くことです。

前述の例5(下記表)に該当し、25日から末日までの請求分を売上に加えず保留します。実際の請求は当月分扱いになります。また、翌月になったらその保留額を売上に加える処理をします。
(売上保留の解除)

社内の締め日 請求先締め日 支払先締め日 違い 処理内容
例5 25日 末日 25日 請求先締め日が異なる
(他より遅い)
売上保留

下記の場合、7/26~31の請求額70,000円は、顧客への請求は当月計上、自社の売上は翌月計上となります。
以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

金額(円)
6/26~30保留額の解除 a 60,000
7/21~25請求額 b 360,000
7/26~31請求額=保留額 c ▲70,000
7月の売上(a+b) 420,000
7月の請求額(b+c×-1) 430,000


金額(円)
7/26~31保留額の解除 a 70,000
8/21~25請求額 b 340,000
8/26~31請求額=保留額 c 80,000
8月の売上(a+b) 410,000
8月の請求額(b+c×-1) 420,000

ここまで、4パターンを見てきましたが、例1のように、全ての締め日を同じにするだけで、これらの作業労力を削減することができると思います。「顧客の締め日」「取引業者の締め日」と「自社の締め日」の関係を確認し、より合理的な方法を常に考えたいと思っています。

memo

私自身、顧客や取引業者と交渉し、変更に応じてくれた会社もありましたし、NGの会社もありました。何度もトライした思い出があります。また、コスト管理を行うに当たって、各種「マスタ」をきちんと管理しておくことが大事かと思います。価格タリフのマスタはもちろんですが、「会社名」「支店名」「費目名」などに「0001」などの数字に置き換えた「コード」を付与して管理したいところです。日本語で会社名などを入力し管理していると、入力ミスなどの"イージーミス"が引き起こされがちで、私はなるべく避けるようにしていました。


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  • キズナ (織田哲郎)

2000年のシングル曲。アルバム「One Night」収録バージョンは控えめなアレンジ。ドラマ主題曲。メロディーメーカーとしても天才的ですが、自らの歌唱も男っぽさ全開で歌詞も突き刺さってきます。太めなアレンジで始まるイントロからは熱量が伝わってくる感じ。割とおとなしめ感じから大きく展開していくサビは流麗かつ高度なクオリティ。いい楽曲。力強いハイトーンも魅力的。

📷 memory

このドラマも毎週観ていたので、心に強く残っています。渋さ、カッコ良さ、力強い声色、豊かな創造力、どれをとってもイイ。"男が惚れる男"といった感じがしています。

月次決算(請求処理&支払処理)を考える

コスト担当が行う業務は、たくさんあります。その中でも経理部門でない部署(物流センターや支店、営業所などの事業部門)の「月次決算」とは、当月の支払と請求のデータ処理をするということです。思いっきりざっくり言えば、「業者の請求書の金額を経理部門に報告する」「顧客へ請求書を発行する」ことです。

そしてゴールは・・・・・・売上・売上原価を確定させることです。

デイリー決算(毎日の請求・支払を確定させていく方法)でない限り、基本的に「決算シーズン」は、ごく限られた期間内での処理になることが多く、事前に計画的にスケジューリングを想定していないと、処理が間に合わないケースがありえます。慣れてくれば自然と体が覚えてきますが、そうなるまでは非常に頭をフル回転させて、切羽詰まった感が半端なかったのを思い出します。


1."支払があるから請求がある"という意識

コスト担当者は、時として「請求担当」と呼ばれたりします。そのネーミングからか"顧客へ請求書を発行する"だけというイメージを持たれる方も少なくないと思います。しかし"取引業者への支払処理"も同じ人が処理する場合も結構あると感じます。その場合、顧客への請求書や請求明細書を作った後に、業者への支払処理をするという方法で行っている方もいると思います。やはり「請求漏れをしてはならない」「間に合わなかったら困る」という意識が働きがちだからです。

また請求書の提出の方が支払処理の期日より早かったりすると、その傾向は顕著になると感じます。やはりこの問題は、ある項目の支払処理をしたら、同時に請求処理もする(もしくは請求するものなのかそうでないのかを考える)方がいいと私的には思います。

memo

支払と請求を、逆にして処理してしまうということはないとは思いますが、"横並び"にしてみれば、間違う可能性を低く抑えることができると考えています。常に支払と請求をセットに考えて、「支払いがあるから請求がある」という考え方をもつように心掛けていました。"この請求分の支払はどれか"を強く意識していたと思います。仮に支払処理を自分が行わなくても、どこかの部門で(多くは経理部門)処理していると考えられるからです。


2.定型フォーマットを作成し活用してみる

まず、定型フォーマットを作成するところから始めたと思います。このフォーマット作りは後々非常に役に立ち、すべてのbaseになったと考えています。というのもコスト担当のもとには、取引業者の請求書や伝票類など、決算時期にさまざまな書類が集まってきます。

時間のない中で処理をしていると、どうしても間違いやモレなどが発生しやすくなりがちです。通常、イレギュラーな費用は除いて、発生するコストは決まっていると思います。ですから、あらかじめ処理すべき項目をデータ形式で作成して、ミス防止および時間の効率化を図ったりしていました。

後にいろいろなデータを集計・抽出したりすることが可能となるということが、最大の利点です。これらは、必ずと言っていいほど、使うシーンが出てきます。また請求明細や支払明細とは別なものとして、自分確認用として作るのがベターかと感じています。データベースとして作成してあると、いろんな集計や加工がしやすく他の人が集計・分析するときにもスムーズにいくと思います。「表」のようなスタイルですと、表計算ソフトなどでの集計は困難になるので避けるようにしていました。


3.社内物流費の確定

決算業務を始める前に、「社内の物流費」を確定させていたと思います。

社内物流費とは、物流センターが他社に発注して請求書をもらうようなコストではなく、自社内でかかったコストのことを言ったりします。主要なものを下に記述してみましたが、会社によって様々な呼び方をされていると推測します。私なりの"例え話"も付加してみます。

自家輸送費

自家輸送費とは、自社で所有するトラック等を使用して配送した費用です。

社内に自家輸送部門があれば、そこで配車業務とともに運賃計算等を行っている場合も多いと思います。そして決算時期になったら、コストを知らせてもらったり経理部門経由で教えてもらったりすることが考えられると思います。また、かかった費用を物流センターを管轄する事業所に付け替えてきたり、請求書を発行してきたりということも考えられます。会社によってその形態は様々かと思います。
(社内輸送費と呼ぶ場合もあるかと)

以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

日付 車種 行き先 金額
6/12 10トン 大阪 100,000
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
合計 500,000
強引な例え

強引に、"家での出来事"に例えてみれば、お父さんは日曜大工が趣味で、知り合いに"椅子を作ってよ、1000円払うから"と頼まれたとします。1000円が売り上げとします。出来た椅子を知り合いに届けに行きました、お母さんの運転する車で。お母さんがお父さんに請求書を発行してお金をもらうことはないと思います(例外の家はあるかも笑)。お母さんの運転代、ガソリン代などは無くてはならないもの。ですから原価というイメージ。立派な社内輸送費ならぬ"家族内輸送費"といった感じ。※

社内作業費

社内作業費(事務)とは自社の事務系社員の費用のうち原価に算入するもので、基本的には、事務系社員の標準単価に工数と該当人数を掛けたものになります。

社内作業費(現業)とは自社の現業系社員の費用のうち原価に算入するもので、基本的には、現業系社員の標準単価に工数と該当人数を掛けたものになります。

これらの作業単価は、経理部門等が把握している場合が多いかと思いますが、上記の金額は、間接費の社員人件費から差し引かれる処理を伴ったりもするかと。また、派遣社員等の人件費についても、経理部門で処理する場合には同様の処理となることがあると思います。
(物流センターで処理する場合は、支払処理とともに売上原価へ)

以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

単価(円) 工数(H) 日数 人数 金額(円)
社内作業費
(事務)
事務系 2,000 8.0 20 2 640,000
社内作業費
(現業)
現業系 1,500 8.0 25 1 300,000
合計 940,000
強引な例え

これまた強引に、"家での出来事"に例えてみれば、上記の例で、お父さんが息子に、"ちょっと手伝ってくれよ"と言って作業を頼み、木の板をノコギリで切ってもらいました。息子はお父さんに請求書を出したりしません(いや、今のご時世ならありうるか笑)。この息子の作業費は原価というイメージ。立派な社内作業費ならぬ"家族内作業費"という感じ。※

社内材料費

社内材料費とは、物流センターで直接業者に発注して購入するものではなく(つまり物流センターでは、業者から請求書を受け取らない)、購買部門が購入するものを言ったりします。また、他の物流センターが所有している材料を送ってもらって使用したりするもの("付け替え"といったりします)もあるかも。

以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

前月残高 当月受入高 当月払出高 当月残高
合計 合計
100,000 200,000 150,000 150,000

購入単価と払出単価が異なる場合に差額が生じることがありますが、これを「原価差額(げんかさがく)」と言ったりします。これは、購入したときの単価が必ずしも払出時の単価と同一にならないことがあることを意味したりします。

例えば、購入したものは、資産として在庫を持つわけですが、購入毎に管理していれば別ですが、ある材料が1回目の購入単価が100円、2回目の購入単価が105円、3回目の購入単価が102円だった場合、先入れ先出しで価格管理を行っていれば、問題ありません。しかし、まとめて管理している場合などには、1回目の購入分が払い出されても、102円が適用されるケースもありえます。その際は単価2円分の差額が出ます。この原価差額は、損益計算書上に組み入れられたりすると思います。

購買部門を通さないで、すべての材料を物流センターで業者から購入している(業者から請求書を受け取る)場合には、社内材料費に該当させず、他の費目、例えば「材料費」などの費目で処理したりすることもあると思います。

強引な例え

またまた強引に、"家での出来事"に例えてみれば、上記の例で、お父さんが接着剤をお店で買ってきましたが、クギを買い忘れました。息子に"クギをちょっとくれよ"と言って、もらいました。息子はお父さんに請求書を出したりしません(いや、今のご時世ならありうるか笑)。この息子が、以前お店で買って持っていたクギ代も原価というイメージ。立派な社内材料費ならぬ"家族内材料費"という感じ。※


memo

♪在庫保有日数

★上の表の「当月残高」についてですが、あまりこの金額が大きいと在庫の持ちすぎとなり、少なすぎると常に在庫不足のリスクがありますので、適正な在庫水準を分析し、事業規模を勘案しながら管理していくことが大切かと思います。

「在庫保有日数」という指標があります。
在庫残高の金額÷売上原価の金額で求めることができますが、上記例ですと(当月の締めた段階で)、当月残高150,000円÷売上原価110,00円=1.36カ月となります。

つまり、払出の1.36カ月分の在庫を持っていることになります。これは金額面で計算しましたが、実際の管理としては数量で計算することも効果的かもしれません。どちらにしても、この数字があまり大きくなると在庫過剰のリスクになり、少なすぎると在庫過少のリスクになります。適正数値がどのくらいかは、それこそ会社の考え方によると推察します。


自家倉庫費

自家倉庫費とは自社所有の倉庫・物流センターの費用ですが、賃借している物流センターも名称としては「自家倉庫費」として計上している企業もあるかと思います。
(分けて考える場合には、別の費目を使うこともあると思いますが)

また、物流センターは事務所のある事務所フロアと倉庫スペースである倉庫フロアに分かれていることが多いと思います。倉庫フロアは原価、事務所フロアは間接費となるケースが多いかもしれませんが、これも様々です。坪単価も、経理部門にて分けて設定しているところもあると思います。

以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

坪数 単価 金額(円)
事務所フロア 200 9,000 1,800,000
倉庫フロア 500 8,000 4,000,000

物流センターの中に複数の部署が入っている場合には、トータルの面積が決まっているので、整合性がとれるように各部門との調整が必要になったりすると推察します。

強引な例え

はたまた強引に、"家での出来事"に例えてみれば、上記の例で、お父さんが、おじいさんの部屋を借りて椅子を作ることにしました。おじいさんはお父さんに請求書を出したりしません(いや、今のご時世ならありうるか、いや、やはりないと信じたい笑)。このおじいさんの部屋を借りたコストも原価というイメージ。立派な自家倉庫費ならぬ"家族内倉庫費"という感じ。※

4.請求書発行一覧(または売掛金一覧)の作成

顧客(荷主)に発行した請求書の一覧を、作成していました。月に発行する請求書が一枚というケースは少なく、場合によっては何十枚と発行するケースもあると思います。基本的に、請求書発行段階で管理NO(あるいは発行NO)を採っていましたので、当月に発行した請求書を発行NO毎に一覧表にしていました。

以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

発行NO 会社 支店 請求金額 消費税
10%
合計
01 AA 〇部 9,000,000 9,900,000
02 BB △部 5,000,000 5,500,000
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
合計 14,000,000 15,400,000

発行した請求書を一覧にしておくことは大切です。受け取ったら、その都度入力していけば自動的に完成します(手書きでもOKですが)。何十枚とあったり一つの会社へ複数枚の請求書を出す場合などは、必須かと思います。


5.支払請求書一覧(又は買掛金通知書一覧)の作成

取引業者から受け取った請求書の一覧を、作成していました。こちらで支払額を確定させる場合には、買掛金通知書一覧を作成したりしますが、これは、当月に確定した支払額を業者に通知するもの、と考えていいと思います。これまた、月に受領する請求書が一枚ということは少ないと思います。
場合によっては何十枚と受領するケースもあると思います。

基本的に、当月に受領した請求書を発行NOごとに一覧表にしていました。業者の請求書を検収して、間違いがないことを確認します(業者の請求書NOとは別に、NO管理はしていましたが)。

以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

請求書NO 会社 支店 請求金額 消費税
10%
合計
P-2 PP 東京 2,000,000 2,200,000
K-4 KK 横浜 3,000,000 3.300,000
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
合計 5,000,000 5,500,000

支払額を確定させるには、主に以下の2パターンが考えられます。

①業者からの請求書を受け取って、検収する(チェックする)
②自社で支払額を計算し、明細と買掛金通知書を発行し了承をもらう

もちろん混在している場合もあると思いますが、請求書を受け取る側は②の方が、処理しやすいのではないでしょうか。というのも、顧客への請求額を計算する際に業者からの明細を貰わないと処理が進まないというケースも考えられますし、期日どおりに請求書をもってきてくれるか不安は消えません。また、内容が正しいか検収する手間も省けます。ただ、①での対応の場合には、請求書の鑑(かがみ)は後日に最終的なトータル金額を記載したものを頂くことにし、明細だけを早めにもらうのも一考だと思います。


memo

また、作業項目ごとに請求書を提出してくる場合には、取引業者と交渉して鑑は1枚にしてもらい、明細を複数枚という形にしてもらうやり方もいいかもしれません。しかし、請求書を提出する側からすれば、能動的に提出した方がいいに違いないと思います。これまた「二律背反」ですが、話し合いを通じて双方が納得する形に持っていきたいと考えています。


6.売上、売上原価の完成へ

ざっくりとですが、ここまでの作業で算出してきた金額をもとに下の表を作成してみました。ここでは、前述した「売上見積」「売上保留」「原価見積」「原価保留」は、無いものとして考えています。

以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】

売上 請求書発行一覧 14,000,000
前月 売上見積額解除(▲) 0
当月 売上見積額 0
前月 売上保留額解除 0
当月 売上保留額(▲) 0
合計 14,000,000
売上
原価
買掛金通知書発行一覧 5,000,000
前月 原価見積額解除(▲)
前月 原価保留額解除
当月 原価保留額(▲)
付け替え(+)
付け替え(▲)
自家輸送費 500,000
社内作業費 940,000
・・・ ・・・
社内材料費 110,000
自家倉庫費 5,800,000
合計 7,130,000
粗利 6,870,000
(%) ( 51% )

これで、売上、売上原価、粗利が出ました。

この粗利を出した段階で、業務的には終わりになることもあるかと思いますが、まだ間接費の分を差し引いていないので、それはこの後...


次は、損益計算書、コストダウン、予実管理についてです。


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