必見! 物流業界関連の知識もろもろpart4
間接費を加えて損益計算書(暫定版)へ
(1)原価ではない費用とは何か
間接費とは、直接原価に含まれない費用のことを言ったりします。
主に、社員の人件費や購買部門(購買システム)での購入品費用、経理部門が管理している固定資産の減価償却費、備品費、消耗品費などがあると思います。
ここに挙げた項目を、本社経理部が処理するものと仮定してみたいと思います(また、これら間接費を原価へ組み入れることもあり得るでしょうし、支払請求書で下記項目などを支払っている場合には、そのまま原価にしたり、又は間接費に振り替えたりすることもあり得るかもしれません)。例え話も付加してみます。
これらの項目は、会社によって様々かと思いますが、経理部門と会話してよく理解しておきたいところだと思います。
例えば・・・・・
- 人件費は、社員の給与や時間外手当、福利厚生費、退職積立金などの費用です。売上原価に算入する分については、その分を間接費から差し引く処理があったりします。
- システム開発費は、文字通りシステムの開発費用です。減価償却の対象であれば、一定期間、償却分が計上されると思います。経理部門では固定資産リストを作成していると思いますが、その簿価に基づいた償却費を把握しておきたいところです。売上原価に算入する分については、その分を間接費から差し引く処理があったりします。
- システム維持費は、現在運用しているシステムを維持管理するためにかかる費用です。売上原価に算入する分については、その分を間接費から差し引く処理があったりします。
- 減価償却費は、固定資産のうち減価償却しているものについて費用として計上されてきます。売上原価に算入する分については、その分を間接費から差し引く処理があったりします。
などなど、多岐にわたります。
これらは、会社の数だけその項目パターンはあるのではないでしょうか。経理部門ではないコスト担当者にとっては、実際には目に見えない所で計上処理されてくるイメージですので、最も掴みづらい費用が間接費だと私は思っています。
これまた強引に、"家での出来事"に例えてみれば、前記の例で、お父さんが健康で椅子を作れるのは、お母さんの美味しい料理のおかげ。また作り方に行き詰まり、娘が動画サイトを見たときの通信料。家の蛍光灯も、ごくわずかではあるものの、いくらかは貢献しているはず。どれも直接的ではないかもしれませんが、間接的には椅子の完成に無くてはならないものと言えそうです。これらも"間接費"という感じ。
いろんな人やモノの貢献があって、初めて売上が立つと言えると思います。
以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】
間接費 | 人件費 | 2,000,000 |
システム開発費 | 20,000 | |
システム維持費 | ||
減価償却費 | 100,000 | |
・・・ | ・・・ | |
合計 | 2,120,000 |
経理部門において、損益計算書や間接費の確定が完了しないと、物流センターや事業所サイドで、すべてを把握することは難しいと考えています。ですから、こちらでコントロールできるものとできないものを区別して管理していたと思います。ただし、予算を作成する人は内容を理解しておかないと作れないと思われますので、分からない所があれば上司や経理部門に問い合わせて確認することも必要になってくるかもしれません。
間接費は、その対象が特定の物流センターのものと明確になっていれば問題ありませんが、不明確なものについては、どう計上するのか難しいところです。物流センターを管轄する部門間の幹部クラスの判断が、必要になってくるケースもあるかと思います。
(2)本社の社員の給料はだれが負担するのか
総務部や経理部といった本社部門は、「売上」がありません(本質的には)。そうしますと、本社の社員の人件費や事務用品などの間接費はどう処理されるのでしょうか。いや、間接費ではなく直接原価扱いしているケースも有り得るのかもしれません。
これまた、会社によって様々だと思いますが、本社部門で費用だけ計上することもあるでしょうし、社内の各物流センター、支店、事業所などに配分して計上してくることもあるでしょう。
(売上や利益の部署間比率などによって)
これらは、「本部(本社)費用」や「配賦管理費」と言ったりすることもあると思います。本部費用と間接費を合算して間接費と捉えたりする場合もあると思いますし、本部費用は物流センターサイドでコントロールしにくに性質ゆえに、外して損益を考える場合もあったりすると思います。管理職や経理部門と、よく確認しておく必要があるかと考えています。
(3)損益計算書
先程の「粗利まで出した表」に「間接費の表」を加えれば、ざっくりですが、損益計算書が完成します。
損益計算書とは、簿記では「P/L」と呼ばれたれします。この損益計算書は、各物流センターや事業所、営業所が月次決算処理をしたデータを元に、経理部門が作成すると思います。それが"オフィシャル"です。その後、幹部社員等にはオープンにしていると思いますが、それ以前に、物流センターの事業所サイドで暫定版として作成し分析を進めて上司に報告したりすると効率的かもしれません。
問題は、間接費と本部費用ですが、分からない場合は仮の数字として予算と同額を入れておくことも一考かと思います。実績が出たら置き換えればよいのではないでしょうか。下記は、買掛金通知書一覧の中から間接費に振るものはないと仮定しています。
以下のようなイメージになるかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】
売上 | 請求書発行一覧 | 14,000,000 |
前月 売上見積額解除(▲) | 0 | |
当月 売上見積額 | 0 | |
前月 売上保留額解除 | 0 | |
当月 売上保留額(▲) | 0 | |
合計 | 14,000,000 | |
売上原価 | 買掛金通知書発行一覧 | 5,000,000 |
前月 原価見積額解除(▲) | ||
前月 原価保留額解除 | ||
当月 原価保留額(▲) | ||
付け替え(+) | ||
付け替え(▲) | ||
自家輸送費 | 500,000 | |
社内作業費 | 940,000 | |
・・・ | ・・・ | |
社内材料費 | 110,000 | |
自家倉庫費 | 5,800,000 | 合計 | 7,130,000 |
粗利 | 6,870,000 | |
(%) | ( 51% ) | |
間接費 | 人件費 | 2,000,000 |
システム開発費 | 20,000 | |
システム維持費 | ||
減価償却費 | 100,000 | |
・・・ | ・・・ | |
合計 | 2,120,000 | |
配賦管理費 | ||
損益 | 4,750,000 |
この損益計算書の作成が、ひとつの「ゴール」と考えていました。
ここまでの道のりを理解するのに、この業務を引き継いでから、相当な時間がかかったと思います。ミスをして怒られたことも何度もありました。ただ、この業務を行っていると、モノ・人の動きと、収益構造がよく分かってくることを感じます。そして自分を成長させてくれたなぁと、振り返って思うのです。
また、計算は1円単位でなされる訳ですが、上司への報告は百万円単位などが一般的かもしれません。そうした際に四捨五入する訳ですが、これをすると最後の合計値に問題が。合計金額を四捨五入した値と『1か2』くらい誤差が出ます。その場合は、一番大きな金額の項目の所で調整します(+1したり)。
- 今、僕たちにできる事 (オールナイトニッポン・パーソナリティーズ)
1993年のシングル曲。当時のパーソナリティの皆さんが、曜日の垣根を超えて発表しました。「ストップ・エイズ・キャンペーンソング」でしたが、番組内で頻繁に流れていました。楽曲が完成するまで、各パーソナリティさんたちの語りも熱かったような記憶があります。メッセージソングで参加メンバーが豪華。
とてもいい楽曲。当時の社会的テーマに対して、みなさんが一つのものを"カタチ"として作ってくれたことが、私には嬉しかったのです。
コストダウンを考える
(1)コストダウンの種類
物流企業にとって、コストダウンはとても重要です。いや、どの会社にとっても重要なテーマかと思います。通常、コストダウンと言えば、「支払額」を削減するものを指すニュアンスが大きいと思います。支払額の削減」を行った場合、その後のアクションとしてどんなものがあるのでしょうか。経験的には以下の4つが思い浮かびます。
- 支払削減分を、すべて顧客還元へ
- 支払削減分のうち、一部を顧客還元、残りは自社利益分
- 支払削減分のうち、一部を顧客還元、残りは内部留保
- 支払削減分を、すべて自社利益分へ
ちなみに「顧客還元」とは、請求を低減させることを言ったりします。上述の4パターンの中でどれを実施するかは、幹部クラスや管理職等の経営層による判断によると思われます。
この「コストダウン」は、なかなか難しいものがあり簡単ではないと思っています。相手方と話し合いや交渉をするのですが、ただやみくもに「〇〇くらい値下げしてほしい」と言っても難しいのではないでしょうか。やはり、データ等の数字に基づいて話を進めないとお互いに納得いく結論に達しないことが多いと感じています。
(2)実施項目を決める
コストダウンの項目は、顧客から要請されて実施する場合と、自社内で計画を作成して実施する場合とがあると思います。前者では要求項目についてコストダウンを実施すべく検討を始めますが、後者は一般的には、予算策定時に同時にコストダウン計画を作成して、その実現に向けた取り組みを行うことが多いと感じます。
一般的に、コストダウンは、その価格の値下げで実現させることが多いと感じます。それは最も早く実現可能だからに他なりませんが、やはりそこには限界もあるとも思っています。ですから、単なる価格値下げにとどまらず、輸送モードの変更や取引業者の変更、物流形態の仕組み自体の変更等によるコスト削減を考えていくアングルも、時には必要なのかもしれません。ただ、こうしたことは、担当ひとりでは難しいと思います。関係してくる部署も多くなり、プロジェクトを組む必要も出てくるかもしれません。ですから、常に「提案」できるよう、いくつかコストダウン項目を考えておくことが必要かと感じます。
(3)コストダウン計算例
ところでコストダウン実施分の計算は、どうすればいいのでしょうか。ざっくりですが、「保管費」で見てみたいと思います。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】
現在の契約坪数:10坪
-
〇〇倉庫(株)に対して、現在の坪単価1,000円を10%値下げしてほしい旨を申し入れ、了承いただいた。
(1,000円→900円:▲100円) -
この10%のうち5%(つまり@▲50円分)を、顧客である△△株式会社に対して、還元することに決定した。
(現在単価:800円→750円:▲50円) - 適用開始:5月から
この場合、
コスト削減と顧客還元の両方が発生することになります。計算すると一か月のコストダウン額と顧客還元額は、以下のようになります。
契約坪数 | 坪単価(円) | 金額(円) | |||
---|---|---|---|---|---|
顧客還元 | 支払削減 | 顧客還元 | 支払削減 | ||
実施項目(1) | 10 | ▲50 | ▲100 | ▲500 | ▲1000 |
計上期間ですが、仮に1年間計上するとした場合、12月決算ならば1月から12月までということになりますが、区切りのいい月から開始できるとは限りません。そうした場合、年度を跨いでの計上となることも考えられます。
また場合によっては、顧客還元開始月と支払削減開始月が同一とは限りませんので、その際は各々の開始月からとなると思います。そして顧客還元分から支払削減分を差し引いた分が、自社の利益増加分となるという感じ。
(この例の場合は、+500円=▲500円-▲1,000円)
また年度開始月(例えば1月)から新しく開始するものと、年度の途中の月から開始したものとは、予算作成時には分けて考えたほうがいいとも感じています。
(4)コストダウン効果を把握する
コストダウンを実施した場合には、その効果額を把握する必要があると思います。実施項目自体の金額も重要ですが、損益全体にどれくらいの効果をもたらしたかも重要な指標となります。
例として、"原価率(原価率=売上原価÷売上)"への影響を考えてみたいと思います。コストダウン実施額が原価率を何%引き下げたかということがポイントで、前述の倉庫の例を損益全体で見ますと、以下のようなイメージになるかと思います。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】単位:円
※下記のCD額=コストダウン額
コストダウン効果 | |||
---|---|---|---|
実施前 | CD額 | 実施後(実績) | |
売上 | 10,000 | ▲50 | 9,950 |
原価 | 7,000 | ▲100 | 6,900 |
粗利 | 3,000 | 50 | 2,050 |
原価率 (%) |
70.0% | ▲0.7% | 69.3% |
顧客還元で100円のマイナス、支払削減で50円のマイナスですから、売上と原価の全体額が上記の数値の場合、粗利は50円増加し全体の原価率を0.7%押し下げる効果が図られたことが分かると思います。こうした表を何度も作成していると、パッと見て分かるようになってきました。慣れでしょうか。
- クリスマス・イブ (山下達郎)
1983年のシングル曲。冬になると各種メディアから自然と流れだします。いわば風物詩的楽曲としてこれだけ長く愛されていることが凄い。色褪せることはありません。鉄道会社のCMソングで広く知られるようになったと記憶していますが、名曲。これからもクリスマスソングとしてみんなから愛され続けていくことでしょう。30th Anniversary Edition。
私が唯一ファンクラブに入っている小田さんのカバーが忘れられない。
クリアなハイトーンボイスが心地よく感じられます。満天の星空を感じさせるライティングは雰囲気充分。それを背に歌唱する姿を、斜め上からダウンしていくカメラワークで真正面からアップを捉えるアングルが心に残ります。丁寧に心をこめて歌唱しているように見えました。感動。(2001)。※
予実管理とは何か
予実管理(よじつかんり)とは、「予算」と「実績」を比較し、その差異を分析することと解釈していいと思います。会社にとって、予算の作成は重要です。経営方針そのものに直結するからです。ですから、最も苦労するのがこの「予算の作成」といっても過言ではないと思っています。
毎月の請求と支払の処理は"実績"ですから、そのまま処理すればいいわけですが、予算は未来の数字を作り込むので非常に難しいと感じています。予算の作成は、3月決算の企業であれば、年末もしくは年明け早々にも取り掛かることでしょう。その作成方法も、詳細な項目の積上げを行ったり、トップダウンとして全体の金額を決めたりなど、様々かと思います。
そして、予算とは何かということですが、「翌年度の売上、原価、粗利、間接費、コストダウン、人員計画等を決めること」との理解をしていました。ただし、人員計画は、未来の人の異動や退職などを知らなくては作成できませんので、上層部と一部のチームで作成されることが多いのかもしれません。そして経理部門では、更に幅広く予算組みを行うと思います。
予算を作成する時期にも、当然通常の月次決算処理があります。ですから、この時期は非常にタイトなスケジュールになり、時間が足りなくなる時がしばしばあります。綿密にスケジューリングする必要がある、と感じています。この時期は、いつもピリピリした感じで同僚から「なんか怒ってる?」と言われたこともしばしば。こちらはそんなつもりは全くないのですが、雰囲気というものは自然と周りに伝わったしまうのかと、反省していました。
(1)予算は"ひとつ"なのか
コスト担当になる前までは、「予算」はひとつだと思っていました。しかし、そういうわけでもなく...確かに、"オフィシャルな"予算はひとつだと思います。
予算の種類についてですが、
まず、「年初予算(ねんしょよさん)」というものがあります。これは年度開始前に作成し確定させたもので「確定予算」「当初予算」と呼ばれたりしますが、これがオフィシャルな数字となり、対外的には、これを「予算」と言ったりしていると思います。これに対して「見直し予算」というものがあります。年度が始まると、当然のことながら、当初予定していたことと違うことが発生したりします。そうすると、元々の確定予算と乖離が生じます。そこで、現状のいろいろな事柄を加味し、当初予算を修正します。
つまり、その時点での実態に近づけた形での予算を作成し直します。これを「見直し予算」「修正予算」と言ったりします。この見直し予算は、会社によっては一度だけではなく、一次見直し、二次見直しという具合に年度の中で何度も行われることもあると思います。そして、これは途中の月までは実績ですが、それ以後は見込みの数字となります。ですから、見直し予算の内容は"実績見込み(じっせきみこみ)"であることが多く、この言葉もよく使われると思います。
<年初予算と見直し予算>、<年初予算と実績>、<見直し予算と実績>とを比較したりします。ですから、頭の中にいつも何種類もの予算の数字を入れておく必要があり、"何と何を比較するとどうか"、ということを強く意識していたと思います。最初の頃は、頭の中が"ごちゃごちゃ"で苦心していました(泣)。予算作りは大変で、時間がいくらあっても足りない感じ。そして、一度作った予算案が原型を留めていることは稀で、修正、また修正の嵐。大事な作業だと分かってはいても、少し憂鬱になるような気持ちがあるのも事実。よく夢にまで出ます...
(2)予算をどう作るればいいのか
予算の作成方法ですが、これまた会社によって千差万別だと思います。ですから、明確に語ることは困難ですので、極めて個人的な私の考え方をざっくり書いてみたいと思います。
- 「予算立案方針」を作成します(幹部からの通達だったり、こちらで提案したりと様々)。これは、大きな方向性を示すもので、今後の業績動向や会社の経営方針、物流センターの運用方針などをベースに明確化します。例えば、「取扱物量の前年度比5%増の伸長率を見込んで・・・」とか、「売上高を前年度ベースで見込んで・・・」とかで、作り込んだり。はたまたゼロベースから積み上げて作成したり。また、取扱物量の過去の実績をもとに作成したりするのも一考かと。
- 次に、今後見込まれる予定事項や変更項目を、予算に織り込んだりしますが、拠点の統廃合や輸送モードの変更などの運用形態の変更点などを洗い出すことをしたりします。
- コストダウン計画を考え策定し、予算に織り込んだりします。
- 売上、売上原価については、「変動費」と「固定費」に区分けして作成したりします。「変動費」とは、取扱物量に比例してコストが決まるものです。輸送費や作業費が該当すると思います。「固定費」とは、取扱物量に関係なくコストが決まるものです。坪契約の倉庫費などが該当すると思います。
これ以外にも、多種多様な作成方法があり、100社あれば100通りのやり方があるのが自然だと思っています。
(3)差異分析とは
毎月、年初予算と実績との差異を分析する必要があります。実績が予算どおりで増減が出ないことは、固定費などを除いてはまずないと考えられます。具体的には、「どういう理由で売上が増えたのかor減ったのか」等のように、その"増減の説明"が大切になってくると思います。
出庫作業費を例に、具体例で見てみたいと思います。
以下のようなイメージかもしれません。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】
7月 | |||
---|---|---|---|
年初予算 | 実績 | 増減 | |
売上 | 100,000 | 99,000 | ▲1,000 |
売上原価 | 80,000 | 71,500 | ▲8,500 |
粗利 | 20,000 | 27,500 | 7,500 |
原価率 (%) |
80.0% | 72.2% | ▲7.8% |
個数 | 1000 | 1100 | 100 |
【変更事項】 請求単価:@100円➝90円(▲10円) 支払単価:@ 80円➝65円(▲15円) 出庫個数:1000個➝1100個(+100個) |
出庫作業費が、個数×単価で算出されると仮定してみます。上の表では、年初予算作成時の請求単価は@100円、支払単価は@80円です。7月に、[請求単価▲10円、支払単価▲15円]の値下げを実施したとします。そして出荷個数は、予算では1,000個を想定してましたが、実際は1,100個と、+100個だったとします。
★ここで焦点となるのは、"出荷個数が増加(+100個)しているにもかかわらず、売上が減少(▲1,000円)しており、かつ原価率が改善している"ということです。
個建なので、個数が増加したら売上、原価ともに増加し原価率は変わらないはずです。ただ値下げの影響も入っていますから、そこを考慮する必要があります。よって、「物量変動による影響」と「値下げによる影響」を分けて考える必要がありそうです。
(4)差異分析のつづき
前回の表を下に記載します。
※数字は根拠のない架空の数字を記載しています。【例です】
7月 | |||
---|---|---|---|
年初予算 | 実績 | 増減 | |
売上 | 100,000 | 99,000 | ▲1,000 |
売上原価 | 80,000 | 71,500 | ▲8,500 |
粗利 | 20,000 | 27,500 | 7,500 |
原価率 (%) |
80.0% | 72.2% | ▲7.8% |
個数 | 1000 | 1100 | 100 |
【変更事項】 請求単価:@100円➝90円(▲10円) 支払単価:@ 80円➝65円(▲15円) 出庫個数:1000個➝1100個(+100個) |
まず、「物量変動による影響」を考えてみます。"実績の請求単価・支払単価ともに、予算と同じ"だと仮定します。そうしますと、以下の表のようになります。
7月 | |||
---|---|---|---|
年初予算 | 実績 | 増減 | |
売上 | 100,000 | 111,000 | 10,000 |
売上原価 | 80,000 | 88,000 | 8,000 |
粗利 | 20,000 | 22,000 | 2,000 |
原価率 (%) |
80.0% | 80.0% | 0.0% |
個数 | 1000 | 1100 | 100 |
【変更事項】 請求単価:そのまま 支払単価:そのまま 出庫個数:1000個➝1100個(+100個) |
この表は、「物量変動(1000個→1100個)による影響」のみの増減が表示されていることになります。
・売上は、10,000円増加
・原価は、8,000円の増加
・原価率は、変わりません。
次に、予算の個数を実績の個数に置き換えて、物量を固定して計算します(実績が1100個ですので、予算の個数を1100個にします)。予算欄の数字は、コストダウン実施前の数字になっています。そうしますと、以下の表のようになります。
7月 | |||
---|---|---|---|
年初予算 | 実績 | 増減 | |
売上 | 100,000 | 99,000 | ▲11,000 |
売上原価 | 80,000 | 71,500 | ▲16,500 |
粗利 | 20,000 | 27,500 | 5,000 |
原価率 (%) |
80.0% | 72.2% | ▲7.8% |
個数 | 1100 | 1100 | 0 |
【変更事項】 請求単価:@100円➝90円(▲10円) 支払単価:@ 80円➝65円(▲15円) 出庫個数:そのまま |
するとこの表は、「値下げ(請求単価▲10円、支払単価▲15円)による影響」のみの増減が表示されていることになります。
・売上は、11,000円減少。
・原価は、16,500円の減少
・原価率は、7.8%の改善。
この結果から、以下のことが分かります。
売上:▲1,000の内訳 | 物量変動分:+10,000、値下げ分(顧客還元):▲11,000 |
原価:▲8,500の内訳 | 物量変動分:+8,000、値下げ分(支払削減):▲16,500 |
原価率:▲7.8%の内訳 | 物量変動分:なし、値下げ分(顧客還元・支払削減):▲7.8% |
「増減内訳表」としては、以下のようにまとめることができると思います。
売上 | 原価 | 粗利 | |
---|---|---|---|
●物量変動 | |||
・出荷個数の増加による売上増 (1,000個→1,100個:+100個) |
10,000 | 8,000 | 2,000 |
●コストダウン | |||
・出庫作業費の単価値下げ (請求@▲10円、支払@▲15円) |
▲11,000 | ▲16,500 | 5,500 |
合計 |
▲1,000 | ▲8,500 | 7,500 |
ここでは、テーマ別に増減を出していますが、費目別に出すのも有効かと思います。
(5)予算作成の重要性
予算案の作成後、幹部社員や上層部で討議されると思いますが、そのなかで、追加の指示が出ることがあると思います。「売上を〇%盛り込んで」や「顧客還元をもっと積んで」といった具合でしょうか。ですから、一度で決定されることは極めて少ないかもしれません。そうしますと、再びコストダウン項目を選定したり、輸送モード変更の検討や、価格値下げ項目の追加などを、計画に落とし込む必要が出てくるわけですが、それは簡単なことではありません。骨の折れる作業であることは間違いないと実感しています。
また、修正が何度もある場合、第4版、第5版といった予算計画なども、"ざら"だと思います。ただ、ここでしっかりと作成根拠と増減内容を明確にしておかないと、後々、どの項目を織り込んでいて、どの項目を織り込んでいないか、が分からなくなりますので、しっかりとした作り込みを意識していたと思います。
幹部クラスへの説明は、1円単位で報告するより、百万円単位、千万円単位で報告することが多いのではないでしょうか。いくつもの物流センターや営業所を統括しているならば、なおのこと全体の金額が大きくなってくると思います。
(ちなみに、百万円単位は、百万がMillion(ミリオン)ですので、3百万円を「3M」と言ったり表記したりすることもあります。)
1999年のベストアルバム。シングル曲をメインにアルバム収録曲も含めて全15曲を収録。映画の主題曲。彼の登場は新しい音楽のあり方を提示したと思いますが、後のシンガー達に大きな影響を与えたのではないだろうか。日常的な場面や言葉を無理なく歌詞に取り入れ、それまでの歌詞とは明らかに違っていた感じ。職業作詞家ではないがゆえに紡ぎ出すことが出来る言葉の数々。衝撃的なデビューでした。
1991年のシングル曲。イントロから既にその世界観が始まっています。こぶしを回さずストレートに歌唱する歌声は、私の心にもストレートに伝わってきます。初々しくもまっすぐな歌詞とキャッチーなメロディは不変。
コスト担当者の苦悩とやりがい
物流センターのコスト担当者の業務は、なかなか大変です。もちろん、一般企業の請求担当も大変なことばかりでしょう。たた物流センターの中では、様々な業務が行われていますし、設備等の種類も多いといえると思います。そうしたなかでコスト管理担当は、出荷管理や在庫管理といった運用業務をも幅広く理解しておかなくてはなりません。人やモノなど、何かが動くたびにコストが発生するのです。
当然、一人ですべての処理を行うことは困難かと思います。ただ、運用担当とコスト担当を別々のスタッフで行う際には、情報の共有を徹底しておかないと、何かと弊害がでてきたりします。例えば、「知らない間に運用方法が変わっていた」とか「緊急対応をしたことが聞かされてなかった」とかは避けたいところです。請求書を受け取ったときに初めて知る、というような事態は避けなければなりませんし、分からない請求書を提出されることは、あってはならないと思います。
コスト担当者は、締め日や提出日といった限られた期日のなかで、請求業務や支払検収業務(支払いが間違っていないかをチェックする)を行い、また、「お金」という数字を扱うので特に神経をすり減らしていますので、なるべく時間を効率的に使いたいところです。また「予算管理」という業務を担っていることも多いかと思います。例えば、予算の作成、毎月の予実管理(予算と実績の増減の理由を分析する)などを行います。当然、部課長などの幹部との打ち合わせも多くなり、本社部門との調整も、頻繁に発生します。
加えて、コスト管理向けのシステム等が投入されていれば、各種マスタ更新やバージョン変更、データ反映の不具合への対応など、システム部門との関わりも自然と深くなってきます。また、設備品の購入や新規システムの導入などがあれば、購買部門とも調整しなくてはなりませんし、他の物流センターのコスト管理担当とのやりとりも増えていくでしょう。
こうして見てみると、コスト管理業務は、非常に骨の折れる業務だといえます。しかし逆にいえば、本社部門や全国の物流センターの社員や管理職に顔や名前が知れ渡っていくということになり、こうした様々な部署の人との繋がりは、後々大いに役立つことでしょう。
誤解を恐れずに言えば、運用業務を知っていてコスト管理業務にも精通していることが、管理職への近道かもしれないとも感じます。逆にいえば、管理職は、コストに関して深く理解している必要があるのではないでしょうか。コスト担当者は、多くの苦悩を抱えている反面、これほど、やりがいのある業務も他にないとも思っています。そして、会社員としてだけでなく「人」としても成長させてくれるものと感じる今日この頃です。
1995年のベストアルバム。バラードの名曲の数々を収録。このシリーズの第2弾ですが、いわゆる"バラード3部作"も収録されていて、聴きごたえ充分。個性的な歌声と抜群の歌唱力は魅力に富んでおり、スッとその世界に誘ってくれるよう。名盤。もちろん第1弾も名盤。
1995年のシングル曲。バラード3部作の3作目。静かな旋律から始まり、徐々に展開するなだらかなメロデイーラインは秀逸で、間奏アレンジも渋すぎる。サビの伸びやかな高音が心地いい。サビのフレーズは主人公の気持ちの叫びに他ならない。安定した歌唱力に脱帽です。名曲。
おわりに...
Part1
物流コストの種類は、多岐にわたります。そして、コスト担当者が異動または退社などで、その業務を引き継がなくてはならない時があります。そんなとき、充分な引き継ぎ期間があったとしても、コストがらみのところというのは、なかなかスムーズに理解できるものではないと思うのです。
はじめは、処理作業をそのまま真似するしかないと思いました。手順書などが整備されていれば時間の短縮になりますし、ミスも少なくなるでしょう。しかし、中身を理解するには、時間がかかると思います。単純に機械的に作業すればいいではないか、という考えもあって当然。ただ、私の考えは少し異なります。
理由は、やはり私自身の経験からきているのだと思っています。長いこと、物流管理の運用業務だけを行ってきたのですが、コスト担当者の急な異動により、その後任に私が指名されました。その際、前任者も異動先での引き継ぎの時間等の制約があり、私の引き継ぎの時間も自ずと短くなりました。さらに、手順書の類は皆無でしたので内容どうのこうのというよりも、ただ"この数字をこちらに持ってきて"みたいな形でメモしながら、覚えるしかなかったのです。
Part2
そして、毎月の処理がすぐに始まり、顧客や業者さんからは、請求担当の私に、矢継ぎ早にいろんな話が入ってきます。会話をしてても、言葉の意味がよくわからずいったん電話を切って、前任者に電話で聞きまた相手先へかけなおすという繰り返しでした。そうこうするうちに、予算の作成がはじまり・・・という具合に、処理業務を、流れ作業的にこなすので精いっぱいでした。
また、見積書や請求書のファイリングの方法ひとつ取っても、とても整理されている状態とは言い難かったと思います。このときのなんとも苦い経験が、本コラムを書く動機になっているわけですが、こうした経験は、コスト担当でなくても皆さん多かれ少なかれ経験があることと思います。ですから、当時の私のような人に向けて、少しでも役立つ情報を提供できたらと思い書き始めました。
長い間、この業務に携わり続けた中で、どうしたら一番管理しやすいか、どうしたらミスなく処理できるかを考えはじめ、そう遠くない未来に起こるであろう、私と後任者との引継ぎの問題を考えるようになりました。"基本的には、誰でもできる"、ものなのだと思っています。物流センターや物流会社に、何らかの形で勤務していれば、ざっくりイメージ的には理解できているのではと思っています。
また、分からない時は何度でも現場に行って、このコストはどの作業に該当するのかといったことを、自分の目で見ることを大切にしていました。"時間が空けば、現場に行く"という習慣があるのは、この時の"おかげ"だと感じています。コスト管理を行う際の大きな武器は、現場を理解しているという強みだと思っています。机に座って、パソコンの中の数字を見ているだけでは、顧客や業者と対等に渡り合えないのかもしれません。"その数字が背負っているもの"に想いを馳せたいと、いつも考えています。
生きることと、働くこと
最終回ということで、「生きること」と「ビジネスのあるべき姿」の両面の本質を鋭く著した書籍を2つ、紹介して終わりたいと思います。
説明不要かと思われる、ミスタープロ野球。これまでの野球に対する熱い生き方や考え方、病気に倒れた際の気持ちの描写などは、やはり尋常ではない「スーパースター」だと思わせます。努力の人でもあるのだと思います。自叙伝というカテゴリーかと思いますが、生きるとは何か、いろいろ考えさせてくれる一冊。
緻密な野球論もさることながら、この本こそ、会社員には一度は読んでもらいたい、そんな気がします。ときに現役時代には、ビジネスライクすぎる、と批判を浴びたりもしましたが、根底にある野球に対する考え方は、ミスターとは良い意味で異なっているように感じます。組織内でどう行動しどう言葉を発するか、管理職の人にとっても、組織論的にも非常に為になる一冊。
最後に、拙い当コラムが少しでもお役に立てたとすれば、これ以上の幸せはありません。―(終)―
次は、miniコラムです。
2019年のベストアルバム。耳馴染みのあるシングル曲のオンパレードはまさにベスト盤と言っていいと思います。シンプルなサウンドが、心に潤いと活力を与えてくれてきたと思っています。やっぱりカッコイイです。
1976年のシングル曲。この哀愁感たっぷりのサウンド・メロディー・歌詞すべてに衝撃を受けました。何故か泣きたくなる、そんな一曲です。心に染み入り刻み込まれている楽曲。
昔、大晦日に放送していたCX系の「19XX」という、当時の世相と楽曲を組み合わせた番組の中で流れていました。胸をわしづかみにされた気持ち。歌詞もイイ、メロディーもイイ、アレンジも最高。どこか郷愁を誘うこの楽曲の持つチカラ。名曲です。