いろんな要素が詰まっている『物流』ですが、それぞれのポイントにフォーカスして書いてみたいと思います。
- #1◆3PLとは何ぞや
- #2◆KPI(ケーピーアイ)とは何ぞや
- #3◆物流センターの位置決めは難しい
- #4◆無くては困るフォークリフト
- #5◆貨物用エレベーターは便利すぎる
- #6◆価値を守る資産管理
- #7◆往復するピストン輸送
- #8◆大動脈を結ぶ基幹輸送
- #9◆容積計算は緻密かザックリか
- #10◆共同配送の難しさ
- #11◆win-winになる価格交渉を目指して
- #12◆難しい作業人員の配置
- #13◆個建単価の設定方法はさまざま
- #14◆外装箱も商品であるという意識
- #15◆説明力を要求される監査
- #16◆請求書の処理は大切
- #17◆必要だけど大変な棚卸作業
- #18◆外部倉庫はなるべく近い方がいい
- #19◆魅力ある書籍
- #20◆財務諸表の中のP/L
- #21◆下請法とは何ぞや
- #22◆互いが分け合うゲイン・シェアリング
- (補足)著作権
物流用語と、そこから見えてくる視点!
ここでは、思いつくまま気の向くままに、書いてみたいと思います。
#1◆3PLとは何ぞや
昔は、運送業、倉庫業といったある機能に特化した会社が多かったと思いますが、時代とともに、そうした多様な機能を一括して管理する物流会社が出現しました。その物流形態を「3PL」と呼んだりします。
読み方は「さんぴーえる」「すりーぴーえる」といった感じ。
これは「Third(3rd) Party Logistics(サード・パーティー・ロジスティクス)」の頭文字をとった略。
荷主が、おのおのの会社(倉庫会社、運送会社など)を手配するのは大変ですから、3PL会社に頼めば、「窓口」を一本化することができます。
3PL会社は、状況に応じて"最適な手段"を考え組み合わせて、エンドユーザーにお届けすることが可能となり、それが使命でもあります(例えば、安価である、品質が良好である、等の会社と契約して)。それは自ずと、全体的なコスト削減に繋がっていきます。単体(配送のみ、倉庫のみ等々)より総合的な価格設定が可能となりうるからで、そこに"総合物流サービス業"としての3PLの価値があると言えると思います。
3PLは、部分的な業務委託というよりは、トータル的視点に立った業務委託を受け、荷主にとって最適な物流網(サプライチェーン)を提示することに、その本質があると私は考えています。物流に関して全体的に委託されるというのは、ビジネス規模が大きくなり、収益の増加につながることですが、一方で荷主に対して、トータル的な責任を負うことになります。ですから、細かいプランニングや日常的な最適解を求める姿勢が必要となってくると考えています。
広範囲にわたる業務に携わることができるという視点でいえば、とても"やりがい"のある仕事だと感じています。最初は「3PL?」とまるで知識がなかったと思います。実務や書籍などを通じて、いろいろオフィシャル的な事柄などを理解していった感じ。時間を見つけては、体系的な情報の蓄積に努めようと心したことを思い出します。
#2◆KPI(ケーピーアイ)とは何ぞや
3PL企業で使われる重要な指標のひとつです。
「Key Performance indicators(キー・パフォーマンス・インジケーターズ)」の略。いろんな要素を数値化して、達成率や工数削減率などのデータを定期的ないし毎日集計し、荷主に提示・報告していくものと考えていいと思います。
これを行うには、データを継続的かつ簡便に集計できる環境が必要かと思います(システムや作業も含めて)。ただ、整備するまでは相当骨が折れますが、滑り出してしまえば割とスムーズにいけると思います。データの信用性は、同じ条件下で継続していることが、大切な要件だと思っています。
#3◆物流センターの位置決めは難しい
物流拠点の形態としては、大きく2つに分けることができると思います。いわゆる教科書的に言えば、1つは、DC(ディーシー)「Distribution Center(ディストリビューション・センター)」で、在庫をもつタイプの物流センターです。在庫を持っているので納品までの時間(リードタイムと呼びます)が短くて済みます。もう1つは、TC(ティーシー)「Transfer Center(トランスファー・センター)」で、在庫を持たないタイプの物流センターです。品物が入荷したら即時に納品に向かいます。ただ、在庫を少量持っている物流センターもあります。
しかし、単純に、この切り分けで語れない物流センターがたくさんあると思います。こうした拠点を、国内に幅広く置くことにより、最適な物流ネットワークを構築することが可能になってくると思います。
このようなプロジェクトに関わったこともありますが、なかなか大変です。社内・社外問わず様々な関連部門とのすり合わせや交渉が必要なので、実際に運用が軌道に乗るまでは、落ち着くことができなかったと思います。ただ、うまく行った時の達成感は大。
#4◆無くては困るフォークリフト
物流センターで絶対必要な運搬器具として、フォークリフトがあります。その種類は、カウンターフォーク、リーチフォーク、サイドフォークなど様々です。会社によっては、これらを購入して使用しているところもあるでしょうし、借りる場合もあると思います。私の経験した借りる方法としては、「レンタル」と「リース」がありました。
レンタルは、短期的に使いたい場合に利用されることが多く、いつでも返却できる感じ。支払も1台いくらといった感じで、支払処理を毎月すればいいだけでした。一方、リースは、長期的に使用したい場合に利用することが多く、一定期間の契約を結ぶため途中での解約・返却は基本的にはダメな場合が多い感じ。また修繕管理などもこちら側で管理する必要があったり、経理部門での処理が発生したりと、レンタルよりも処理が多い印象です。どちらも、長所・短所がありますので、用途や業態、センターの特徴に合った選び方をしていたと思います(コスト担当の私としては、レンタルの方が楽なのですが)。
また、フォークリフトには法定点検があります。月次点検と年1回の点検です。フォークリフト会社が実施して、検査終了後に報告書を受け取って確認印を押していました。毎回ではありませんが、なるべく立ち会うようにしていました。人がパレットをゴロゴロ引っ張るものとして、ハンドリフトというものもあります。なかなか便利なのです。(いわゆるテコの原理みたいに、弱い力でも重量物を運べたりします)
#5◆貨物用エレベーターは便利すぎる
物流センターには、荷物用エレベーターがあるところが多いと思います。1階建てでない場合はフロアー間でのモノの移動は欠かせません。そのための昇降機ですが、大きさや耐荷重など様々なタイプのものがあるかと思います。
また、建築基準法、労働安全衛生法による点検も義務付けられていて、点検後には「点検済証」なるものが貼られます。
検査は、専門の検査員の方が来て実施していたと思います。一度、検査員の方とエレベータの下に一緒に入り、いろいろ説明を受けたのですが、「いま、上のエレベータが落ちてきたらアウトだなぁ」と怖かった記憶があります(当然落ちてこないように、検査員の方が操作していましたが)。
#6◆価値を守る資産管理
有形・無形を問わず自社の資産は、経理部門で簿価とともに管理されていることが多いと思います。年一回その資産に資産管理シールなるものを貼っていました。物流センターには、たくさんの、そしていろんな種類の資産があります。
目に見える有形資産ならば、それに貼ればいいのですが、無形資産の場合は手間がかかります。例えば、ある"システム"を開発して運用している場合などは、"システム"にシールは貼れません。何しろ目に見えませんので。そこで、そのシステムに関わる"ハブ"や"ケーブル"に貼り付けたこともありました。
通常、資産は減価償却されていき価値が下がっていきます(自動車などと同じです)。そして最後には、簿価(帳簿上の価額)は、ゼロになるはずですが、ゼロにしてしまうとデータ管理上、その資産そのものが、最初から無いと勘違いしてしまうかもしれません。そこで、資産の存在を明確にするために、ゼロにはせず簿価を"1円"とする場合もあると聞いた記憶があるのですが、どうなのでしょうか。
#7◆往復するピストン輸送
時間制運賃は、比較的近距離の輸送に適していると思われます。物流センターから近めの範囲を配送エリアに設定し、最終納品先へ配送する時に適用されることが多いかも。また、8時間制では、AMに配達に行き一旦物流センターに戻り、PMにまた荷物を積んで配達に行く、ということもあります。これを、「ピストン輸送」と呼んだりしていました。
ここからは私の推測ですが、1日の配達分を朝に積み込む方法、AMとPMの2回に分けて積み込み方法など様々かと。納品先の密集度にもよりますので、一概にどちらが効率的かとは言えない感じ。
#8◆大動脈を結ぶ基幹輸送
距離制運賃は、比較的遠距離の輸送に適していると思います。例としては、東京の物流センターと大阪の物流センターとの間の輸送などがあります。これを「拠点間輸送」(きょてんかんゆそう)、定期的にある場合には「定期便(ていきびん)」と呼んだりします。時間制、距離制運賃の価格は、トラック運送会社と荷主が交渉によって運賃を決めており、決してオープンにはならないので、実態を把握することは極めて困難かと思います。
ただ、私見としては、国土交通省の基準運賃をベースに○%を増減、みたいな交渉が行われているところもあるのではと推測しています。昭和57年認可運賃、昭和60年認可運賃、平成2年基準運賃、平成11年基準運賃などがありますが、いずれも長い年月が経っていますので、実態に見合っていないという見方もあります。各種団体が公表している「実勢運賃」なども参考になるのではと思ったりもします。
追記:
2020(令和2)年に、国土交通省が運輸審議会に「トラック標準運賃案」の告示を諮問しました。この後、公聴会の意見聴取、運輸審議会の答申を受けて告示するという流れですが、最新の情報に気を配っておきたいところです。
#9◆容積計算は緻密かザックリか
貸切便とは、まさに車両1台をまるまる貸切るもので、他社製品を混ぜてトラックに乗せないものを言ったりします。多くは、地場(じば)の輸送業者などに依頼したりします。(地場とは"地元の"という感じ。混載しない貨物を輸送するニュアンスもあったりします)
若いときに、先輩に教えてもらったことがあります。まずパレット。トラック等に乗せることができる1.1m×1.1mのパレット(略して、いちいちパレット)と呼んだりします)枚数と容積についてです。トラックの形状などによって、容積などは異なりますので、一概に言うのは避けるべきですが(トラックの種類別容積などは、他のサイトをご参照願います)、当時、積載可能基準として、4トン車はパレット10枚で30㎥、10トン車はパレット16枚で48㎥、5トンコンテナはパレット6枚で18㎥、を頭に入れて仕事をしていた思い出があります。
上司から「今日はどれくらいの出荷ボリュームなの?」と聞かれたときに「10トン車〇〇台分です」と答えていた思い出があります。4トンのロングで何台とかの受け答えは必要なかったので、ざっくり答えるために先輩が前述の基準を教えてくれたのだと思います(今思えば、その容積が適切だったのか謎ですが)。
※鉄道輸送の5トンコンテナは、「ごとコン」と略して呼ばれたりします。
#10◆共同配送の難しさ
昔、共同配送プロジェクトに関わったことがありました。同業他社の製品同士を一緒に運ぶというものですが、これには、「車両台数の削減」「CO2削減による環境負荷低減」などのメリットがあります。
ただ、やはり会社としてはライバルですから、様々な垣根を乗り越えないと実現には至らないと思います。加えて、荷主同士の了解があっても、受け取り側から、"別々でないと困る"と言われることもあります。また、伝票類も基本的には異なっているのですから、現場で作業する人、ドライバーなどには負担が大きくなる場合を、充分に勘案する必要があると思います。
#11◆win-winになる価格交渉を目指して
価格交渉においては、荷主側も輸送会社側もベターになる方法を考えていきたいものだと感じます。ここからは私見ですが、輸送業者(貸切業者、混載業者問わず)との取引価格の決定や、見直し交渉の際の主なポイントとして、いつも次の3つの項目を考えています。
[1]まとまった物量を委託することができる
[2]毎日または定期的に車両手配の依頼をすることができる
[3]事前に車両手配の依頼ができる
上記の条件をクリアできるのであれば、輸送業者は、金銭的なメリットと物理的な手配関連のメリット(これが金銭的メリットに繋がることもありますが)が見込まれるという感じ。下記のようなことが考えられます。
[1]では、物量が多くなればなるほど、輸送業者の売り上げが増加する
[2]では、定期的に物量があると、人や車両の計画を輸送業者がたてやすい
[3]では、事前情報があると、それだけ車両等を確保しやすくなる
輸送業者の自社トラックだけでなく、傭車(ようしゃ)の確保は、上記3つの要件が整えば整うほど容易になり、価格の交渉材料につながるのではないかと感じます(もちろん関係部門との調整は必要ですが)。傭車("ようしゃ"と読みます)とは、輸送業者が委託する別の輸送業者の車両のことを言ったりします。
価格の交渉というものは、容易ではないと感じます。一方的な要求を力技で通しても、長い目で見た場合うまく行かなくなることも経験しました。お互いが、win-winの関係になるように知恵を絞ることが大切だと感じています。
#12◆難しい作業人員の配置
作業員の人数と配置計画は、極めて重要だと思っています。作業単価も、人を集める為にかかるコストを織り込み〇%か上乗せするということが必要になってくるかもしれません。また管理的には、入庫や出庫といった作業毎に完全に作業者が分けられている場合には、作業別のコストを把握することは簡単ですが、そうでない場合もあります。作業者全員で、入庫や出庫といった業務を処理している場合などです。忙しい所に、何名か応援に入るといったことは当然ありますが、"出庫でいくらかかったのか、入庫でいくらかかったのか"といったことの厳密な把握は難しくなり、予算を含めて作業別のコスト管理といった面では精度が下がることになります。
ただし、作業員の待ち時間を減らしてトータル的な作業効率を上げるには、作業別に人員を割り振って持ち場を決めるよりも、物量に応じて人員の移動を積極的に行う方が良いという考え方もあります。そうした場合には、トータルコストを、作業毎の物量比で
#13◆個建単価の設定方法はさまざま
この個建単価の設定で注意すべき点は、やはり取扱物量との関係です。作業員を抱える会社としては、取扱物量が増加した場合、作業員を追加で投入するか、もしくは現状人員でこなすことができれば収益は増加傾向に振れ、取扱物量が大幅に減少した場合には、得られる金額よりも作業員の人件費の方が高くなり収益的には厳しくなります。
この個建方式を導入する際には、この個建単価を継続するための"最低限の物量"を決めておくことが重要となってくると思われます。そして、その最低限のラインから大幅に乖離するような状況になった場合には、個建単価の見直しが発生する旨を、作業員を抱える会社との取り決めの中に盛り込んでおくことが必要かも。
#14◆外装箱も商品であるという意識
扱う品物によっては、外装箱に入っているものがありますが、化粧箱と呼ばれたりもします(商品のイラストが書かれたような箱)。製造元からエンドユーザーへ届くまでには、いろんな場所を通過していきますから、箱にキヅが付いたり破れたりすることもありえます。日本人の意識として、"その箱も含めて商品"という考えが強くあると思います。私がお客でも箱にキズがついていたり汚れていたとしたら、中身もダメージを受けているのでは?と思います。
箱の不具合により交換が必要になった場合は、手配したりしていました。また製品をパレットの積み付けて運んだりします(パレタイズするといったりします)。そこに、透明なシート(ストレッチフィルムといったりします)で、荷崩れさせないように、グルグル巻いたりします。薄さのわりには頑丈で、使っている物流センターは多いのではないでしょか。ストレッチフィルムは頑丈です。
#15◆説明力を要求される監査
監査もいろいろありますが、公認会計士さんによる監査の思い出。まず、準備する書類や帳票類が膨大です。顧客への見積書・請求書、業者への見積書・請求書、それぞれの明細...etcとたくさんあり、それも一月分とかではなく、直近1年分くらいは用意していました。もちろん全部チェックすることは不可能(輸送データだけでも〇十万件になります)ですから、ランダムに抜き出してのチェックをされていたと記憶しています。
正しい見積書を適用して請求書を出しているかどうか、「請求書のこの部分の見積書を見せてください」など、私も、ほぼ会議室に詰めて対応していたと思います。ただ、通常の業務もあるわけですから、この監査シーズンは毎日帰宅するのが遅かったと思います。メンタル的に緊張の連続。
#16◆請求書の処理は大切
請求書をもらう場合に、「請求書の鑑」は当月では"1枚"にしてもらうのがベターかと思います。鑑が多くなればなるほど、計算ミスも生じやすくなると感じます。また、前述した、取引業者との締め日の違いについては、話し合いによって、こちら側の締め日に合わせて、「請求書の鑑」を発行してもらうことも一考かと思います。
取引業者から請求書を受け取ることに関しては、「こちらの締め日後の第〇営業日の午前中まで」といったルールを決めておいた方がいいと感じています。さらに、毎月、締め日が近づいたら、e-mail等で確認するのもいいと思います。私自身、なかなか請求書が届かず相手の担当者と幾度となくやりあった苦い経験があるものですから、未だに「締め日」というワードに過敏に反応してしまいがちです。
#17◆必要だけど大変な棚卸作業
物流センターや倉庫には、在庫品が置かれていることが多いと思います。棚卸の頻度は様々ですが、どんな会社でも、年一回は実施しているのではないでしょうか。理論上の在庫残高と実物の在庫残高とを照らし合わせ、差異の有無を調べる業務。基本的には、払出をした段階で、理論上の在庫数があるかチェックしていれば、差異が出ることはないと思いますが、人がやることですから間違いがないとは言い切れません。全品棚卸をすると、時間と労力が膨大にかかりますが、必要不可欠な作業と言えると思います。
若いころ、外部倉庫がいくつもあった時がありました。必ずしも物流センターの近くにあるとは限らないため、よく社有車で行き来していたと思います。普段の日は業務がありますから、自ずと日曜日に実施することが多かったのですが、若いときは遊びたいものですので、休みがつぶれたりして、憤慨した記憶があります。ただ、今振り返ればいい思い出になっています。
#18◆外部倉庫はなるべく近い方がいい
物流センターの保管スペースにも、当然限りがあります。そこで、保管物量が増加してセンター内での保管が難しくなりそうな場合には、倉庫を借りることがあります。これを外部倉庫(がいぶそうこ)と呼んだりしますが、倉庫会社と契約しある一定期間スペースを借りたりするものです。主に在庫品を保管したりしますが、コストは保管料だけではありません。必要に応じて、物流センターに在庫品を運ぶ(移動する)際のトラック手配、運賃、倉庫で作業する人員、なども考慮する必要があります。
物流センターに近い場所であればベターですが、遠隔地の倉庫しかない場合もあります。また、倉庫は1つだけではなく、複数の場合もあり得ます。車両の手配や作業員の確保といったような、いろいろ管理することが増えます。とても神経を使った経験が思い起こされます。
#19◆魅力ある書籍
たくさんある"物流"の書籍の中に、「月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ:ロジビズ)」があります。店頭では販売されておらず、購読契約をすると月1回送られてきます。会社として契約している所も多いと思います。私がいたある会社もそうでして、昼休みなどによく読んでいました。その後、個人として購読契約して家で読むようになりました。内容的には、最新の物流事情や物流会社のトップ(社長など)インタビュー、国内外の最新ニュース、特集記事など、多様な切り口で構成されています。普段の業務の中では得られない情報なども新鮮です。
なかなかのボリュームですが、読みごたえがあると思います。とかく自分の仕事の範囲だけの知識があればと狭くなりがちな私。いい刺激をもらっていました。隅から隅まで読むと、数日かかるかもしれません。だとしても現在の業界の動向に触れることができますので、時間を作ってでも読んでいます。
#20◆財務諸表の中のP/L
財務諸表の主なものに、損益計算書と貸借対照表とがあります。簿記をかじったことのある方なら、お分かりかと思います。興味のある方は、分からなくとも簿記の問題集を一冊選んで見てみるのもいいかも。
損益計算書はP/L(ぴーえる)とも呼ばれ、「profit and loss statement(プロフィット・アンド・ロス・ステートメント)」の略。ある一定期間の売上高や収益を表すものです。かたや、貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)はB/S(ビーエス)とも呼ばれ、「balance sheet(バランスシート)」の略。こちらは、ある時点での資産や負債などを表したもので、資産状況と言っていいと思います。
このB/Sに、直接かかわることはほとんどなかったと思います。もちろん、P/Lも経理部門が作成しますが、物流センターを管轄する部課長クラスは、毎月の収益の側面を重視することが多いと思いますので、コスト管理担当は、P/Lの理解および作成が求められることが多いのかなと思っています。実際、業務内容や売上の詳細な中身は、経理部門よりも現場のコスト担当のほうが詳しいことが多いと感じますが、いかがでしょうか。
また、計算は1円単位でなされる訳ですが、上司への報告は百万円単位などが一般的かもしれません。そうした際に四捨五入する訳ですが、これをすると最後の合計値に問題が。合計金額を四捨五入した値と『1か2』くらい誤差が出ます。その場合は、一番大きな金額の項目の所で調整します(+1したり)。
#21◆下請法とは何ぞや
下請法(したうけほう)とは、下請代金支払遅延等防止法と言い、1956年(昭和31年)に公布されました。なぜ、この法律が「物流」に関係するのでしょうか。上司から「今度、下請法の担当をやってもらうから、よろしくね」と言われ、「下請法?」と頭の中は???だらけでした。何も知りませんでした。2003年(平成15年)に「改正 下請法」が制定され、新たに自社も対象になったとのことでした。
事前に、中小企業庁と公正取引委員会による講習が都内であり、私も社内の数人と出席したことを覚えています。改正の趣旨説明や事前に集めた質問に対する回答・解説などを、役所の担当の方がお話されていました。この法律は、親事業者の下請事業者への優越的地位の濫用を防止するための法律です。
ざっくり言いますと、この改正により「役務の提供」の役務の対象として、「運送、物品の倉庫における保管」といった内容が加わりましたので、物流会社も適用対象となったということだったと思います。一般的な「下請け」という言葉の意味とは少し異なる点が特徴です。よく、"3条書面"と呼ばれたりしますが、いわゆる「注文書」です。契約した業務の開始前に、事前に作成し渡さなければなりません。ひとつの下請事業者で、いくつも料金表があったり、項目(費目)がたくさんある場合などは、なかなか骨が折れます。
あまり変更が無ければ、最初にきちんと作成していれば、次回はそれを応用して使うことができると思いますが、毎月送付していましたので、スケジュールの中に組み込んでいました。これは、やはりコスト管理に携わっている者が適任者かなと思っています(最初は、「なぜ私が?」と思っていましたが)。改正下請法の適用開始前に、取引業者のみなさんに集まって頂き、今後の書面の交付について、話した記憶が思い起こされます。資本金の規模を基準にしていますので、自分の会社の資本金を把握しておくことが必要かと思います。
#22◆互いが分け合うゲイン・シェアリング
ゲイン・シェアリングとは、英語で「gain sharing」ですが、直訳すれば"利得の共有"です。ざっくり言えば、コストダウンした金額を自社と荷主で分け合う、ということになります。荷主との関係性、物流会社の経営判断など、いろんな要素から実施されることが多いように感じます。
自社だけの利益を増加させればいい、という考え方は、正しいと言えば正しいと思いますが、どこかで息詰まるようにも考えています。サプライチェーンは、"供給の鎖"と言われるように、一本の鎖の上にそれぞれの役割を担った会社が乗っている、という感じ。利益をその先の会社へ、その先の会社へ、引いては消費者へ、という具合に連鎖していくことも理想だと感じます。理想と現実は得てして異なるものですが、少しでも心の片隅にそうした意識は持っておきたいと、今の私は考えています。
(補足)著作権
※このコラムを作成・記述する際に『著作権』について理解する必要がありました。そこで実際に購入して参考にした書籍を掲載しておきたいと思います。
- はじめての著作権法 (日経文庫)PR
- 18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)PR
- これだけは知っておきたい「著作権」の基本と常識PR
- コンテンツ別 ウェブサイトの著作権Q&APR
- ビジネス著作権検定 公式テキスト[初級・上級]第2版PR
計5冊ですが、どれか一冊でも読んでおいた方がいいと感じました。著作権とその隣接権については、白か黒かといった明確なものは定義しずらいのだと思います。権利者から指摘されなければ分からない面もあります。ですから、グレーゾーンに近いイメージです。しかし、だからと言って何を書いてもいい訳でもありません(画像・動画も同様)。「引用」の定義やパブリシティー権などは理解した上で、ウェブにアップする姿勢が必要だと思っています。私も5冊読んでみて、解釈の仕方に大きく影響されるものだと理解しました。また、判例等もこれらの書籍には掲載されていますので勉強になります。最近では、メディアのサイトに『著作権』についての解説が掲載されているものも多くなってきました。是非一読したいものです。
次は、雑多コラムです。
- PRIDE (今井美樹)
1996年のシングル曲。ミリオンセラーを記録。美しいメロディと、主人公の切なくも芯の強さを感じさせる歌詞にグッときます。伸びやかで包容力のある歌声は魅力的。間奏のギターソロは洒脱で、アレンジも隅々まで細やかに作られている感じ。名曲。
当時、プレゼントとしてオルゴールを探しに雑貨店に行きました。いろんな楽曲のオルゴールがあり、どれにしようかと迷った挙句、この楽曲のものにしました。気の利いた言葉も言えず渡した記憶。